はじめに

人々の価値観や働き方が多様化するなかで、夫婦のあり方も多様化しています。男女共同参画が進み、夫婦で協力して家事や子育てを担う共働き夫婦が増える中、男性が主に家事や子育てを担う「専業主夫」の家庭も珍しいものではなくなりました。

最近では、結婚後も一緒に住まずそれぞれの生活を維持する「別居婚」、入籍をしないいわゆる「事実婚」、それに同性のカップルによる「同性婚」などさまざまな結婚のカタチが出てきています。

このように夫婦のあり方が多様化する中で、人々にとって「夫」「妻」とはどのような存在なのでしょうか。人生100年時代を迎え、長寿化により、子育ての年数よりも、子どもが巣立ち、夫婦2人の生活に戻った後の人生の方が長いという人が多くなります。いつまでも幸せな夫婦であるための条件を探ります。


妻は夫に期待していない?

あなたにとって「夫」あるいは「妻」はどのような存在でしょうか?「夫」「妻」は「喜びや悲しみを分かち合える人」と思っている人々が男女ともに7割を超えています。多くの夫婦はともに喜びや悲しみを分かち合う仲であるようです。

他方、8割に迫る多くの男性が「妻」のことを「健康を気づかってくれる人」と思っていますが、女性は男性ほど自分の健康を「夫」が気づかってくれていると思っていないようです。このような男女のギャップは他にもあります。悩みごとの相談相手、能力や努力を評価してくれる人といった項目も、男性より女性の方がやや下回っています。

男性は「妻」に悩みを聞いてもらったり、能力や努力を評価してもらったりしているようですが、「夫」にそのようにしてもらっていると認識している女性は、男性ほど多くないようです。男性が「妻」に期待しているほど、女性は「夫」に期待していない様子がうかがえます。

図1

ライフステージやライフスタイルによって、夫婦のカタチは人それぞれですが、幸せを感じているのはどのような夫婦でしょうか。

結婚している人の幸福度得点を夫婦関係の意識別にみてみました。さすがに「夫婦関係に満足している」という人は幸福度得点が、10点満点の7.26点ですので高得点となっています。

それは別として、ここで注目したいのは「自立」というキーワードです。仲睦まじく「よく会話をしている」という夫婦の幸福度得点よりも、「精神的」ないし「経済的」に自立しているという夫婦の方が幸福度得点が高くなっています。しかも、「互いに精神的に自立している」と「互いに経済的に自立している」を比べますと、「精神的に自立している」という夫婦の方が幸福度が高くなっています。

男は仕事、女は家庭という性別役割分業の時代には、夫婦は経済的、精神的に依存しながら共に支え合って生活し、そこに幸せを感じてきた部分もあったかもしれません。でもこれからは、ひとりの自立した個人としてお互いの人生を尊重しながら支え合うことが、幸せな夫婦の一つの条件であるようです。

図2

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