はじめに

中国国内では、10月中にも第5世代移動通信サービス(5G)の商用サービスが正式に始まるとの期待が高まっています。

同国政府の工業情報化部は6月6日、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)、中国広播電視網絡有限公司(中国広電)の通信4社に対して、第5世代移動通信サービス(5G)の営業ライセンスを交付しています。

すでに、7月から8月にかけてZTEとファーウェイが次々と5G対応のスマートフォンを発売済み。9月には、3大通信キャリアが5G用通信プランの予約を開始しています。こうした状況を踏まえ、いま中国株に投資するとすれば、どのような銘柄が有望視されるのでしょうか。


予約状況は4G開始時以上

中国現地紙の報道によると、10月8日時点で3大通信キャリアの5G用通信プランの予約状況は、チャイナモバイルが584万件、チャイナユニコムが204万件、チャイナテレコムが200万件と、合計で1,000万件近くに達したもようです。

2014年2月に第4世代移動通信サービス(4G)の商用サービスが開始された際は、初月の4G契約数こそ134万件に過ぎませんでしたが、同年12月には一気に9,000万件に増加。今や12.6億件に達するまで普及が進みました。

今回の5Gの予約状況をみる限り、4G開始時以上の反応をみせており、今年から来年にかけて中国で5Gの普及が急速に進展すると予想されます。

現在、中国の3大キャリアは北京、上海、広州、深圳、成都、重慶、武漢、南京、蘇州、広州、福州、鄭州、南寧、瀋陽など国内40都市で5Gの運用実験を行っており、商用サービスもこの40都市が第1陣になると予想されます。今後ネットワークの整備が進めば、他の都市にも順次拡大していく予定です。

中国が展開する新方式の特徴は?

中国の3大通信キャリアが運用している5Gネットワークはスタンド・アローン(SA)方式と呼ばれているもの。同方式は、単独で運用可能な5G用インフラをイチから整備していく必要があるものの、「高速大容量」(4Gに比べて通信速度は10倍以上)、「同時多接続」(同時接続数は10倍以上)、「超高信頼・低遅延」(遅延性は10分の1以下)といった5Gの特性を最大限に発揮することができます。

この中でも「超高信頼・低遅延」は、高精度な通信が求められる自動運転やスマートファクトリー、遠隔手術などにとって非常に重要な特性。これを実現できるSA方式は、5Gの産業利用に適しているといえます。

実は4月に米国と韓国が中国に先駆けて5Gの商用化を開始しましたが、どちらも4G用と5G用のインフラを組み合わせて運用するノンスタンド・アローン(NSA)方式を採用しています。この方式はSA方式に比べて初期投資が少なく、短時間で導入できるなどのメリットがあるものの、応用分野によっては5Gの特性を十分に生かし切れない可能性があります。

中国がNSA方式ではなくSA方式を採用した背景としては、最新鋭の5Gインフラを一気に整備することで、産業界における5G利用を促して競争優位に立とうとする狙いがあると思われます。

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