はじめに

世界中で新型コロナウイルスが再拡大しています。足元では着々とワクチンが承認され接種がはじまっていますが、供給状況を考えると当面は“ウィズコロナ”の経済活動となるでしょう。さらに、欧州で感染力が強い変異種が見つかったというニュースも気がかりです。

このような状況下で再注目されているのが「テレワーク」です。テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用して時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができることを意味し、「リモートワーク」とも言われています。

日本では、今年4月の緊急事態宣言時に、半ば強制的にテレワークが導入された結果、日常業務を続けられると認識を改めた企業や、ハンコの押印や紙資料によってDX化が遅れていると気がついた企業が多く見受けられました。

経済活動の再開にともなって元の出勤体制に戻ってしまった企業も、昨今の感染動向を踏まえ、再度テレワークを導入しはじめています。


従業員側に支持されているテレワーク

テレワークに関する様々な調査結果をみると、従業員側は概ねテレワークについて肯定的で、特に在宅勤務を実施している人からの評価が非常に高いという傾向があるようです。

このような従業員側のニーズを受け、企業も変革を迫られています。就職活動や転職活動において、テレワークが認められているどうかが重要な要素として浮上しているからです。

また、企業に縛られない働き方を求める声もあり、今後は優秀な人材を求める企業が、テレワークを含めた働き方改革を進めていくことになるでしょう。

一方、課題も多く見つかっています。管理職からはマネジメント手法の違いによる戸惑いの声もあり、評価の不安定さからキャリア形成への不安を感じる従業員もいるようです。さらに、コミュニケーション不足や、会社への帰属意識の低下などが課題として挙げられています。これらは、テレワークを導入した企業が共通してぶつかる課題のため、ノウハウの蓄積によって徐々に解消するのではないかと見ています。

日本は労働人口の低下により人手不足が深刻になることが懸念されています。そのようになれば今後は労働者の声が強くなり、よりテレワークの活用が進んでいくのではないかと岩井コスモ証券では予想しています。

行政も本腰入れて働き方改革

菅政権は、行政のデジタル化を進めています。改革の陣頭指揮をとっている河野太郎行政改革担当大臣は、国家公務員の働き方改革にも着手しています。国家公務員の若手の離職率や希望者の厳しい状況について、自身のHP上に掲載して話題となりました。

民間からも、各省庁を午後10時から午前5時までを完全閉庁し、緊急業務や議員とのやりとりはテレワーク対応にするべきだという提言もなされています。

今後は、国家公務員や地方公務員においても働き方改革が進み、テレワークが活躍するのではないかと見ています。

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