“ラニーニャ現象発生”で株価はどう動くか
寒い冬に向けての株価の動き
先月、気象庁から世界的な異常気象の原因となる“ラニーニャが発生したとみられる”との発表がありました。ラニーニャは南米ペルー沖の海面水温が低くなる現象です。この冬にかけてラニーニャが続く可能性は70%と高い確率になるとのことです。ラニーニャが発生すると、日本の気候はどのように変化するのでしょうか。南米ペルー沖の海面水温が下がるのと対照的に、フィリピン近海の海面水温が上昇します。すると水蒸気が増えて雲が多く発生し、日本では雨の日が多い秋となります。さらに冬にはシベリアからの冷たい空気が流れ込みやすく、寒冬の傾向があります。気象の変動は人々の生活に影響を与えるものですから、このラニーニャも経済、そして株価の動きを左右するようです。今回はラニーニャと株価の関係を取り上げます。
「自転車を買う人が増える」のは好景気?不景気?販売台数から相場を読む方法
2つの角度から見た自転車販売
昨今、“自転車を買う人が増えている”というニュースを耳にしませんか。ステイホームだった時の運動不足解消に役立つという声があるほか、気軽に“密”を避けて移動ができることから、通勤用に利用する人も増えているようです。また、コロナ禍で増えたフード宅配でも自転車のニーズが高まっています。経済産業省が調査する生産動態統計で見ると、緊急事態宣言が全国で解除(5月25日)された翌月の6月と、直近発表分の7月の2ヶ月間を合計した国内の自転車販売台数は前年同期間と比べて13.7%伸びました。このように足元で大いに活躍している自転車ですが、実は株式市場と深いつながりがあります。今回は自転車と株価の関係を紹介します。
首相は若いほうがいい?調べてわかった首相の年齢と株価の意味深い関係
経験や人脈が重要な点が、年齢と株価の関係にも表れるのか
安倍総理の辞意表明から“新首相”選びが注目されています。9月14日に自民党内で行われる総裁選で後任が決まり、17日にも召集される臨時国会の首相指名選挙で決定する流れとなっています。出馬表明した菅義偉官房長官(71歳)、岸田文雄政調会長(63歳)、石破茂元幹事長(63歳)のなかで見ると、自民党内の主要派閥の支持を受けた菅氏が優勢との見方が強くなっています。菅氏が新首相となれば、アベノミクスの政策を引き継いで、新型コロナ対策と景気回復という足元の大きな2つの課題に取り組んでいくため、政策的にこれまでの流れと大きな違いがないと見られています。すでにマスコミ各社では、新首相が決まった場合に政策や景気への影響はどうなるか様々な予想がとりあげられています。そこで本稿では、ちょっと違う視点から株価への影響を考えてみます。注目したのは“首相就任時の年齢”です。年齢と在任期間の株価がどうなったかを調べてみました。<写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ>
"9月相場"は天気次第?残暑と株価のわかりやすい関係
例年熱い夏は消費が活発
暑い夏です。夏が暑いとビールや清涼飲料水が売れるため関連株が上昇しますし、経済全体で見てもエアコンが売れたり、夏物関連の消費が良くなることから株式市場全体もそれを反映して上昇します。しかし、それにはちょっと注意が必要だというお話を2018年の7月20日の記事「『夏が“特に”暑いと株価が高い』って本当?」で取り上げました。過去のデータからの分析では極度に暑いと8月の株価にはマイナスとの結果が見られました。あまりに暑いと、むしろ外出を控えて消費が減ることが背景にあると考えます。猛暑と8月の株価は意外に単純な関係ではないようです。では9月の株価はどうなるのでしょうか。実は、残暑と9月の株価にはとても単純な関係があります。このところの気象予報では残暑が厳しくなるとの見込みがあるようですが、今回は残暑と株価の関係を紹介します。
コロナ特需に騙されない!プロが教えるこれから活躍が期待できる銘柄の選び方
注目業界をイメージするだけでなく、業績数字のチェックも
コロナ禍で私たちの生活も大きく変わりました。自宅から出かけるときはマスク着用がマナーになり、ソーシャルディスタンスを確保する生活が強いられています。“ニューノーマル”と言えば聞こえ良いですが、様々な制約を受けた生活で心理面でも後ろ向きになりがちです。人々の消費も落ち込み、景気は厳しい状況になっています。とはいえ、生活スタイルが変われば新しいニーズが生まれます。そして将来のニーズに対応していく業界が今後の景気回復のけん引役として期待されます。今回はニューノーマルで期待される企業の選び方を紹介します。
「CSR教育を従業員にする会社」は株価パフォーマンスも好調なのか
企業の社会的責任を果たす姿勢が重要
企業が成長して利益を得るには、高い技術を持って良い製品を作る必要があります。とはいえ技術を蓄えたり、優れた製品を生み出すのは、そもそも“人”です。このため会社では良質な人材、その能力を引き出す組織作りが重要です。これが「企業は人なり」と言われるゆえんで、企業は優秀な人材を育てていく必要があります。1月20日の記事『社員研修に熱心な会社』は株価パフォーマンスも好調なのか』では、企業は人なりを実践して社員を育てる姿勢が強い会社の株価が高いことを紹介しました。今回の連載は、同じ社員教育でも一歩進んだ観点です。“従業員へのCSR教育を導入している企業”の株価について調べてみました。
アフターコロナに重要な「個人情報保護」 内容公表は株価にどう影響する?
投資対象を考える際の新基準
アフターコロナの世の中はどのように変わっていくのでしょうか、専門家から一般のみなさんまで世界中の人々がさまざまな将来の“姿”について考えています。このところオンライン飲み会が流行になったり、学校も遠隔授業になったり、在宅勤務が増える中で会議も自宅からオンラインのケースも増えています。イマイチ勝手もわからないし、煩わしいとおもっていた遠隔授業やオンライン会議も現地に集まらなくて済むし、慣れてくると便利と思う方も少なくないでしょう。もともと会社側も出張による交通費負担を減らせるなどから、テレビ会議なども使われてきました。今回のコロナ騒動は、よりオンライン化を加速すると見られます。これまでシステム投資をしてこなかった企業も仕事の効率性を高めるという観点から、今後は社外からのPC接続ができるようにしていく流れが続くでしょう。となれば、コンピュータウイルス対策、セキュリティへの注意も払わなければなりません。個人情報の管理も重要になります。社外から会社のPCに接続ができるようになるなら、情報漏洩への厳格な対応が必要となります。別の場所で会社の顧客情報が閲覧可能になり、社外の人の目に触れてしまうかも
「企業とメインバンクの結びつき」は株価にどんな影響を与えるのか
長期スタンス投資は企業統治の観点が重要
5月6日に期限を迎える緊急事態宣言ですが、未だ終息への道筋が見えにくい中で延長の可能性も見られています。従業員の休業手当を国が助成する雇用調整助成金などの制度もありますが、自粛が要請された企業では、営業していなくてもお店の賃料や従業員の給料に加えて、会計の帳簿上は過去の設備投資の償却もかかるため、費用が膨らんで赤字となるなど厳しい環境が続いています。こうした中、どのようにお金を調達して、資金繰りしていったら良いかが問題となる企業も少なくないようです。業績が赤字でも資金を調達して、日々のお金の支払いをしのげば、会社は倒産を免れます。そしてメインバンクとの関係が強い企業は、比較的、そこからお金を借りやすいと見られます。今回はメインバンクの結びつきと株価との関係を調べました。
人生100年時代「取締役の年齢」は株価パフォーマンスを左右するのか
「社長の高齢化と業績悪化」と同じ?
企業情報データの分析で知られる東京商工リサーチは、全国社長の年齢調査を毎年公表しています。昨年公表された2018年の集計では、社長の平均年齢が「前年より0.28歳伸びて61.73歳だった。調査を開始した2009年以降、最高年齢を更新した」と記載されています。人生100年時代。高齢者も元気に活躍し続けられる社会という観点からは喜ばしいことかもしれません。しかしこのレポートでは気になるデータも示されています。“社長が高齢化している会社の業績が悪い”ということです。この理由の一つとして社長が高齢化するほど経済環境の変化への対応が遅くなることがあります。実は、こうした“社長の高齢化と業績悪化”との関係は昔から言われる話です。今回、取り上げるのは、社長一人ではなく、もう少し対象を広げて”取締役の年齢“と株価の関係です。
「業績連動報酬制度」の導入は株価に好影響をもたらすのか
理論上の効果は実際に出ている?
近年、会社の業績と経営陣の報酬が明確に連動する「業績連動報酬制度」を導入する会社が増えてきました。この制度は、取締役など経営陣の年収について、全額を固定するのではなく、一定割合を業績の達成度などにより決定しようというものです。背後には、業績と報酬の一部を連動させることで、業績向上に対する経営陣のモチベーションを引き上げる狙いがあります。つまり理論的には、業績連動報酬制を導入していると、その企業の業績は上がりやすくなると考えられます。そこで、業績連動報酬制度を導入している会社の株価パフォーマンスを調べてみました。
「オーナー企業」の株価パフォーマンスは良いのか、悪いのか
社長の持株比率と株価の関係
社長が自社の持株を多く保有している会社というと、どんなことをイメージしますか。社長が創業者だったり、それを一族が受け継いでいる会社を想像する方も少なくないでしょう。ともするとワンマン経営が想起されるため、そういった会社に投資して株主になっても魅力があるのかな、と疑問を持つかもしれません。そこで、社長の株式保有比率と株価の関係を調べてみました。
株価は会議室で決まる?「取締役会の出席率」は企業評価を左右するか
出席率公表企業のパフォーマンスを調べてみた
会社にとっては、出資者となる株主との対話を行う株主総会が最も重要な集まりです。一方で、会社の最高意思決定機関といえば取締役会です。近年は取締役会のあるべき姿について、さまざまな議論がありますが、株主から経営を任された役員が会社の経営方針を定めたり、業務執行の決定をしたり、執行者の監督を行います。ですので、取締役会は会社経営のうえで最も重要な会議になるでしょう。最重要会議ですから、取締役は当然、取締役会に出席する義務があるとされています。そこで、取締役会の参加率の開示と株価の関係を調べてみました。
株式投資の候補先選びに「CSR報告書」も参考にすべき理由
財務諸表だけでは十分でない?
企業は業績を改善させて利益を高めないと、投資家の失望を買って株価は下落してしまいます。とはいえ、足元の利益ばかり追求すると、コスト削減のために本来行わなければならない設備投資などが将来に先送りされるかもしれません。もっとひどい場合には、法律などの最低限のルールすら破られる場合もあるかもしれません。たとえば、過去には従業員が無理な労働を強いられたり、検査偽装を行ったり、会計操作をして利益が出ているように見せたりする事象が発生しました。このようなことをする企業に将来はありません。企業は持続的な成長を目指して行動する必要があります。また、企業は社会のマナーを守って行動する必要があります。社会の一員としてのルールを守らない企業は、顧客や投資家から排除される可能性があるからです。企業には労働問題、環境問題などの課題を解決する姿勢が求められています。このような企業や社会が持続的に成長をするための行動を示す国際的な組織が「国連グローバル・コンパクト」です。そして、その実現に向けて努力を継続することを表明する企業が加盟しています。そこで、国連グローバル・コンパクトの加盟企業と株価の関係を調べてみました
「内部告発者を守ること」は株価の動きにどう作用するか
企業倫理と株価の関係を探る
近年、企業の不祥事を耳にする機会が増えました。不正会計、労務管理の問題、情報漏洩や検査偽装など、あらゆる分野で事件が発生しています。昔と比べて労働時間の管理や、顧客情報の管理が厳しくなった昨今では、法令に抵触しないように不正が発生しやすくなっているのかもしれません。とはいえ、検査偽装など昔から行われていたことが、今になって明らかになるケースも少なくありません。これは、昔と比べて内部告発が行いやすくなったからです。日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の失脚も、内部告発が引き金となりました。その背後には、「内部告発の保護」に関して政策(ポリシー)を定め、実践する企業が増えたことがあります。今回は、内部告発保護ポリシーと株価の関係を調べてみます。
「女性が活躍している会社」は株価パフォーマンスも良好なのか
女性活躍推進法の施行からまもなく4年
2016年に「女性活躍推進法」が施行されてから、男女共同参画社会の実現への流れが加速的に進んでいます。女性活躍推進法や男女共同参画社会を、耳にしたことがある方も少なくないでしょう。女性の活躍度合いが低いと、性別の差などもあり「適切な人材の活用ができない」とか「正当に能力が評価されない」といった悪い印象を与えかねません。逆に「女性の活躍が見えてくる企業」であれば世間の評価も良くなり、場合によっては女性のお客さんから「応援したい」と思われ、その企業で商品を買ったり、製品を使ったりすることもあるでしょう。であれば、株式市場でもこうした企業の株価は期待できるはずです。そこで、企業における女性の活躍度合いと、その企業の株価との関係について調べてみました。
「社員研修に熱心な会社」は株価パフォーマンスも好調なのか
“企業は人なり”と株価の関係
パナソニック(旧・松下電器産業)の創業者・松下幸之助氏といえば、「経営の神様」として知られています。代表的な著書『人を活かす経営』の中で、「企業は人なりということがよくいわれるが、まさに、人を育て、その人を十分に活かしていくことが、企業経営の第一の要諦(ようたい:最も大切なところ)といえるのではなかろうか」と書いています。企業が成長して利益を得るには、高い技術を持って良い製品を作ることです。とはいえ、技術を蓄えたり、優れた製品を生み出すのは、そもそも“人”ですから、良質な人材や、その能力を引き出す組織作りが最も重要になります。「人を育てて人を活かす」ことは、どんな組織でも永遠の課題といえます。企業で働く従業員にとっては、仕事をしていくうえで必要な技術を身につけたり、コミュニケーションスキルを高めたりすることが重要となりますが、企業側も積極的に従業員が成長する機会をつくる努力が必要でしょう。そうなると、「社員研修」が重要になってきます。今回は、この社員研修と株価の関係を調べてみます。
「ホワイト企業」は株価パフォーマンスも良好なのか
社会課題に取り組む企業の株価:第1弾
近年、ブラック企業を根絶しようという流れが世の中に広まっています。企業のブラック度を計る際に、最も参考になる指標の1つが「離職率」です。年間離職率であれば、「その年に会社を辞めた人÷年初の従業員数」によって計算されるのが一般的です。世の中でブラック企業を排除しようという考えがあるなら、ホワイト企業が株式市場でも評価されるだろうと考えられます。以上から考えた仮説は「離職率が低い企業ほど、株価が上昇する」ということです。今回は離職率と株価の関係を調べてみます。
企業のペーパーレス化の努力は株式市場でどう評価されるか
環境問題と株価:第5弾
「ペーパーレス化」というと「随分昔から聞いてきた言葉だ」と思う方も少なくないでしょう。1970年代にマウスを使って操作する初めてのPC、米ゼロックス「アルト(Alto)」の登場の辺りから、世界的に言われるようになったようです。アルトを使えば、別の場所の人と共同で資料が作成できたり、印刷をしなくても画面で情報の共有ができるようになりました。将来はオフィスで紙が使われなくなり電子化される、などとも言われていました。しかし、実際には、環境整備に多くの費用がかかるといった問題だけでなく、画面が今とは格段に劣っていて使いにくいことや、持ち運び面などの技術的な問題、そして特に日本では文書の決裁は紙に印鑑を押すことが一般的であることなど、多くのハードルがあり、電子化は進みませんでした。一方、2000年に入ってからのペーパーレス化といえば、むしろ私たちの身近なところで感じる場面が多くなったかもしれません。交通機関を利用する時は紙の切符はめったに使わなくなり、書籍や新聞を電子版にする人も多くなりました。インターネットや電子決済が普及する中で、環境問題への配慮からゴミを減らそうという考えも広がりました。企