中国で社債のデフォルトが多発!新型コロナの次に中国経済が直面する課題とは
中国経済の転換点
中国では今年、社債のデフォルト(債務不履行)が多発しています。中には、国策である半導体関連企業や暗黙の政府保障があるとされてきた国有企業も含まれており、中国経済の先行きを懸念する報道も多くあります。しかし筆者は、足元のデフォルトの多発は中国当局の政策姿勢の変化を反映したものであり、中国経済に大きな悪影響を与えることはなく、むしろ痛みを伴う構造改革の進展により中国経済の発展に寄与する可能性もあると考えています。
コロナ禍で広がる労働市場の不平等、日本社会の不安定化リスクに
経済的な被害を受けた勤労者への配慮を
欧米に続き日本でも第3波のコロナ感染拡大が起きる中で、感染抑制と経済復調のバランスを調整する対応へのメディアや国民への説明に、菅政権は苦戦しているように見えます。第3波到来といっても多くの国で起きていることであり、また欧米と比べれば圧倒的に日本の人口対比感染者数は少ないままです。欧州各国のように広範囲な経済活動制限の必要性は低いため、日本の現状は深刻であるとは思われません。地域の医療事情に応じた適切な対応によって、現在の第3波への対応は充分対処可能とみられます。米欧対比でかなり抑制されているものの、感染者数の増加によって、一部地域では医療体制が脆弱になっていることが、日本のコロナ問題の本質であり我々が最も問題視すべきでしょう。
加速する世界のグリーン政策、なぜ菅首相は2050年までの脱炭素化を表明したのか?
気候変動対策強化の国際的な圧力が高まる
11月21~22日に開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議において、気候変動問題が議題としてあげられました。菅首相は、関連イベントでのビデオメッセージにおいて、革新的なイノベーションを通じて、2050年までの脱炭素社会の実現を目指すとともに、国際社会を主導していく方針を表明し、脱炭素化目標の「国際公約」としての位置づけを明確にしました。10月下旬の所信表明演説において、温室効果ガス(以下、GHG)の排出削減目標を大幅に引き上げた菅首相ですが、今回の軌道修正の背景には、(1)国際的な削減目標引き上げの潮流と、それに伴う(2)各国の取り組みの加速があるとみられます。
決着はいつ?大接戦となった米大統領選挙と米株式市場の行方
高まる金融財政政策の重要性
11月3日に行われた米国大統領選挙では、接戦州のうちフロリダ、テキサス、オハイオ、アイオア州などでトランプ大統領が勝利しました。バイデン候補が大きく勝利するとの事前の主要メディアの世論調査を覆し、トランプ大統領再選の可能性が一時高まりました。翌4日には、ラストベルトで同様に大接戦となっていたミシガン、ウィスコンシンにおいてバイデン候補の得票が伸びたことで、バイデン候補が再び優位になっています。接戦となっているネバダ州の結果次第の状況ですが、僅差となったミシガン、ウィスコンシン州の集計見直しをトランプ大統領は要求する意向を示しています。そして、事前の郵便投票の集計が行われていなかったペンシルベニア州の結果判明にはまだ時間がかかりますが、どちらが勝利してもおかしくありません。本稿を執筆している5日朝方時点でも、依然決着には至らない歴史的な大接戦になりました。
日本で消えた爆買いは中国国内で進行中、二極化が進む中国消費の今
アフターコロナのインバウンド再開へ期待
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、海外旅行が制限されたことで姿を消した外国人観光客、特に中国人観光客による爆買いの蒸発は国内インバウンド事業に大きな打撃を与えました。しかし、ある程度新型コロナウイルスの感染がコントロールされた中国国内では、高所得者層の消費意欲が確認されています。コロナ禍の収束後、再びインバウンド需要の戻りに期待できそうです。
年内に米大統領が決まらない可能性も?トランプ劇場に一喜一憂する株式市場
新型コロナ感染というオクトーバーサプライズ
米国の大統領選挙投票日まで1ヶ月弱となった9月末から、接戦だった選挙情勢に変化が生じています。
米国大統領選は終盤戦へ突入、選挙を左右する「テレビ討論会」と「オクトーバーサプライズ」とは?
世論調査ではバイデン氏が優勢も、勝負の行方は依然不透明
11月3日の米国大統領選まで、あと6週間を切りました。大統領選の結果は、米国株式市場を含む様々な金融市場の変動要因となるため動向が注目されます。世論調査によると、民主党の大統領候補であるバイデン氏が共和党の大統領候補であるトランプ氏に対し支持率でリードしている状況です。しかし、7月後半以降、トランプ氏が追い上げたことで、その差は縮まりつつあります。また、一般的に世論調査の回答率は高学歴層が高く、トランプ氏の支持が根強い低学歴層の意見は世論調査に反映されにくい事を考慮すると、現時点における両者の大統領選での勝率はほぼ拮抗しているとみられます。かかる中、今後の大統領選の行方を占う上で、「テレビ討論会」と「オクトーバーサプライズ」が注目されます。<写真:ロイター/アフロ>
菅政権の政策シナリオを完全予想!改革を実現するために最も必要なこととは?
安倍政権のレガシーを活かせるか
9月8日に自民党の総裁選が告示されました。主要派閥から幅広く推薦人を集め、更に世論調査でも高い支持を示している菅官房長官が総裁選で勝利し、9月16日には菅政権が誕生する見込みです。安倍政権の継続を強く打ち出しているため、菅政権は経済政策の多くの部分を継承するでしょう。メディアのインタビュー記事において、菅氏は、日本銀行の黒田総裁について「手腕を大変評価している」と述べました。当面、黒田総裁に金融政策を任せるとともに、金融緩和の徹底が次期政権でも重視されるでしょう。<写真:ロイター/アフロ>
コロナ対応からいち早く脱した中国への期待と不安
中国の中長期的な構造改革に影を落とす米中関係
中国経済は4~6月期に前年比プラス成長へ転換し、主要国に比べ一足早いコロナ禍からの回復を見せました。中国当局は、足元の景気回復を受け、政策スタンスを中長期の構造改革を重視する方針へ転換しています。構造改革路線への転換は、課題を多く抱える中国経済にとって好ましいものと考えますが、その進捗に影を落とすのは米中関係であり、秋にかけて、米中政治情勢への注目度が上がるとみています。<写真:ロイター/アフロ>
トランプ大統領と民主党、米株高に寄与するのはどっち?
民主党バイデン候補の政策を読む
8月に入っても米国株高が続き、12日にS&P 500指数はコロナショック前の2月の最高値水準にあと数ポイントまで上昇しました。今年も多くの他の先進国対比で米国株はアウトパフォームしていますが、米国の株高を支えているのは、コロナショック対応で繰り出された金融財政政策だと筆者は考えています。
米国市場に黄色信号、過剰流動性だけで株高は続くのか
財政政策による景気下支えの効果は?
米国株式市場は、6月から高値圏での推移が続いています。7月15日にはCOVID19のワクチン開発への期待から、S&P500は6月初旬の高値とほぼ同水準まで上昇しました。一方、6月後半から連日報道されていますが、米国内ではフロリダ、アリゾナなど南西部でCOVID19の感染者が大きく増えて、6月半ばから経済活動が再び停滞しています。ただ、停滞は一時的でいずれ感染症が克服され、金融財政政策の後押しで経済活動が順調に回復するとの見方が、株式市場では根強いようです。
リーマン超え「戦後最大ショック」受けた日本経済への処方箋
コロナ後の経済を左右する条件
今週発表された、日本の5月分の個人消費、製造業生産などの経済指標は、4月からの日本経済の落ち込みが極めて深刻だったことを改めて示しました。5月個人消費は2月対比で約5%減少したと推計され、製造業の生産数量に至っては5月に約20%(2月対比)も急減する大ショックに見舞われました。
米国の株高が続く必要条件となる「2つのリスク要因」解消
「財政の壁」に警戒
6月初旬まで最高値更新が続いた米国株式市場は、11日の1日で主要株価指数が約5%急落しました。3月下旬から2ヵ月以上続いた米国株の上昇局面が、変わった可能性が高いと筆者は見ています。米国株が急落した前日(10日)には、FOMC(連邦公開市場委員会)後のパウエル議長の会見中に米国株が乱高下して変調の予兆がありました。パウエル議長が今後の景気に関して慎重な姿勢を示し、これが市場心理に悪影響をもたらしたなどとメディアでは解説されました。ただ、パウエル議長は、経済の早期回復のために金融緩和を続ける姿勢を改めて示したほか、これまでの株高がバブルではないかとの質問にも無難な回答を行っており、金融市場に配慮したコミュニケーションを徹底しました。
「米国社会が分断」でも続く株高に警戒が必要な理由
複雑化する政治情勢
米国株式市場では、3月下旬以降の反発が6月に入ってからも続き、6月3日時点で、S&P 500株価指数は3月23日の大底から約40%上昇して、2月の最高値からの急落の8割程度を取り戻しました。迅速かつ大規模な金融財政政策によって、一時の都市封鎖から経済活動が早期に正常化するとの期待が株高を支えています。
コロナ禍からの経済回復を阻む「足かせ」の正体
株式市場のもう一つのリスク
米国株市場の反発が続いています。新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいるとの報道があった5月18日に、S&P500指数は約3%の大幅高となるなど、20日には4月末の高値水準を超えて上昇。年初来の騰落率は約マイナス8%程度で、他の多くの株式市場を上回っています。相対的な米国株の強さの最大の要因は、米国において金融財政政策が強力に行われていることでしょう。家計への所得補償を中心に、GDP対比8%以上の財政政策がすでに実現しています。また、新型コロナウイルスの治療薬やワクチンなどの研究が民間企業によって行われていますが、政府の支出拡大が開発を後押ししています。治療薬やワクチンがいつ開発できるか現時点で不明ですが、これらを量産できる生産体制構築を早くも米政府は進めています。
コロナ禍が浮き彫りにした「緊縮財政」という日本の根本問題
感染拡大抑制の障害に
4月に発動された日本の緊急事態宣言が、5月末まで延長されることが決まりました。新型コロナウイルスの感染拡大を和らげて医療体制を保つ、公衆衛生政策を徹底するために、政府の判断はやむを得ないでしょう。コロナ禍に対する安倍政権の対応に関してはさまざまな批判が聞かれますが、いくつかの点について筆者の見解を示します。
ガソリン需要はもう戻らない?「原油価格暴落」が示唆するコロナ後の世界
リーマンショックよりも社会を変える
米国株式市場は、一旦の大底をつけた3月23日から反発して、4月中旬まで約3週間にわたり株高が続いています。政府とFRB(連邦準備制度理事会)による大規模な経済刺激政策に加えて、コロナ感染者拡大ペースが低下して、近い将来に広範囲に止まった経済活動が再開するとの期待が株高の主要因です。ただ、今週4月20日から金融市場にはやや変調がみられ、特に注目されているのは原油先物市場での価格暴落です。米国で産出される原油の価格指数(WTI)の5月限月価格は、17日まで1バレルあたり約20ドルでしたが、20日には10ドルと半値まで急落。そして同日終盤には大幅なマイナス価格で取引され、筆者も想像しなかった史上はじめてのことが起こりました。
108兆円の新型コロナ緊急経済対策が「圧倒的に不十分」と断言できる理由
日本経済は持ち堪えることができるか?
4月7日に政府により緊急事態宣言が発表され、今後東京などで外出自粛、休業要請などが行われ、すでに景気後退局面にある日本経済がさらに停滞するのは避けられないとみられます。一方、安倍政権は、同日に緊急経済対策を発表しました。今後起きる経済の落ち込みに対して十分な政策対応が行われるか、両者のバランスをどう考えるかが重要でしょう。