Market Plus
明日の投資に何か1つ、プラスの価値を――。難しく捉えられがちな投資の話を自分の事として考えるためのマーケット記事です。
4月以降にドル円は110円超へ!米ドルの上昇余地はまだあると見る理由
米長期金利の上昇は常に円売りドル買い材料ではない
3月に入り、円安ドル高が加速し、一時109円台を示現しました。ドルの上昇はすでにクライマックスを迎えているのか、それともさらなる上値余地があるのか、市場の見方が分かれている印象です。そこで、主な論点である雇用や物価を含む米国経済と、FRB(連邦準備理事会)の金融政策および米長期金利の動向を見定めながら、今後のドル円相場を展望したいと思います。
米金利上昇時は日本株が優位!?まだまだ株高トレンドは崩れないと見る理由
TOPIXは30年ぶりに2000ポイント台回復
注目度の高かった日米の金融政策決定会合を通過し、今後内外で株高気運が高まると見ています。先月には米金利上昇を嫌気して一時波乱展開を示しましたが、米連邦準備理事会(FRB)が経済見通しを上方修正しつつも、利上げには慎重姿勢を維持したことでリスク選好姿勢が再度強まる格好にあります。すでに3月半ばには米ダウ工業株30種平均は史上最高値を更新、景気敏感的な性格が強い東証株価指数(TOPIX)は日経平均に先駆けて昨年来高値を突破し、FOMC直後には約30年ぶりに2,000ポイント台を回復しました。2月高値以降の調整が厳しかったハイテク株にも売り一巡感が台頭しており、金利上昇と株高が並存するいわゆる業績相場の気配を強めつつあるようにも思われます。決算期末対応などの処分売りなど、需給悪要因も峠を越した公算が強く、例年パターンに沿った「彼岸底」のタイミングから、しっかりとした春相場がスタートした可能性を感じさせます。
騰落率2000%超えの銘柄も、コロナショックから1年 激動の株価値動きを振り返る
今後は金融相場から業績相場への移行がカギ
世界のマーケットが揺らいだコロナショックから1年。ワクチン接種等、新型コロナウイルスへの対策は進んでいるものの、経済活動の全面的な再開には至っていません。一方で、株式市場では各国の中央銀行による大規模な金融緩和によりコロナ前より高い水準で株価指数は推移しています。この1年間の日本の株式市場の値動きを振り返ってみましょう。
コロナ後の開放感に照準、投資が加速するマカオ カジノ産業の今
ワクチン普及がカギ
最近、マカオのカジノ収入が回復基調をたどり始めています。マカオは新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中から観光客が「消える」という大打撃を受け、カジノ収入は2020年2月以降激減しました。しかし現在は、中国本土では新型コロナの感染抑制が功を奏し、夏以降はマカオへの渡航規制を段階的に緩和しています。今回は、コロナ後を見据えて動き出したマカオのカジノ産業について解説します。
水素が数ある脱炭素エネルギーの中でも注目される理由
日本は水素先進国になれるのか
バイデン政権や菅政権の誕生などを契機に、世界的に環境への意識が高まっています。これまでも欧州を中心に気候変動などへの意識は高くなっていましたが、コロナ禍からの経済立て直しも相まって、脱炭素の動きが加速している印象です。そして、クリーンエネルギー関連産業が拡大するなか、菅政権が2020年12月にグリーン成長戦略をまとめ、2050年のカーボンニュートラル実現を打ち出したことで、水素が今、注目を集めています。
“投資の神様”バフェットは今、何を買っているのか?
バークシャー昨年末の保有ポートフォリオ公開
投資の神様「ウォーレン・バフェット」の名前を聞いたことがある方は多いでしょう。バフェット氏は1930年生まれで御年90歳にして現役バリバリの投資家であり、バークシャー・ハサウェイという超巨大上場企業の経営者でもあります。筆者は5年ほど前にバークシャーの株主総会に参加した際に、たまたま目の前をバフェット氏が歩いているのを目撃する幸運に恵まれました。その際、あまりの歩くスピードの速さに追いかけられなかったことを覚えています。そんなバフェット氏が世界中で尊敬を集めているのにはたくさんの理由があります。例えば彼は社会貢献に非常に積極的なことで知られており、彼はその資産のほとんどを慈善団体に寄付することを表明しています。また、経済危機やマーケットが暴落した際などに投資家を勇気付けるウィットに富んだコメントを発信することもよくあります。しかし、なんといっても彼が尊敬される1番の理由は、凄まじい投資成績を長期的にあげ続けていることです。そのバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが今どんな銘柄に投資しているか興味がありませんか?バークシャーは2月半ばに、昨年12月末時点の米国株への保有ポートフォ
1都3県はまだ緊急事態宣言下…延長にかかる国民一人あたりの負担金額は?
リバウンド阻止を理由に緊急事態宣言延長
政府は3月5日、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に発令している緊急事態宣言を21日まで2週間再延長すると発表しました。これにより、飲食店の時短営業、外出・イベント・施設利用の制限が続くことになります。新型コロナウイルスの新規感染者数は全国で1,000人、東京で300人程度まで減少し、重症者数も全国で400人程度、東京で50人程度まで減少しています。政府は、感染や医療提供の状況を示す6つの指標がステージ3(感染急増)相当に下がることを緊急事態宣言解除の目安としており、東京都を含めた全地点で6つすべての解除基準をクリアしている状況となっていますが、菅首相は「リバウンドの阻止」を理由に緊急事態宣言の延長を決定しました。目標達成後にゴールポストを動かした印象が強い決定ですが、世論調査ではおおむね8割が今回の緊急事態宣言の延長を支持しており、民意に従った結果とも言えます。一方、緊急事態宣言の延長によって経済的な損失は拡大します。今回は、1都3県の緊急事態宣言延長により発生する、追加支出や経済的損失を試算してみます。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
脱炭素で注目の「銅」先物価格が史上最高値へ、強みを持つ総合商社はどこ?
資源・エネルギー市況の回復続く
新型コロナウイルス感染拡大の影響で急落した、原油や銅など資源・エネルギー市況が回復傾向にあります。これは、コロナ禍で急速に落ち込んだ世界景気の回復が継続すると想定していることが背景にあります。また、米国や欧州、日本など主要国の中央銀行による金融緩和が長期化する見通しであることに加え、米国のバイデン政権による追加経済対策の実施や中国の第14次5ヶ年計画によるインフラ投資の実行など主要国の財政出動のほか、新型コロナのワクチン接種が世界的に進展していることから、今後も資源・エネルギー市況の回復が続くとみられます。
パウエルFRB議長「金利上昇に慌てない」、足元相場から導かれるドル円予想は?
米2月雇用統計結果と米FRB発言
2月25日に米10年債利回りは、一時1.6085%まで急上昇していました。昨年12月31日の終値レベルが0.9132%、1月29日の終値レベルが1.0655%であったことを考えると、2月に入ってからの米長期金利上昇は目を見張るものでした。市場の注目が米インフレ懸念、米長期金利上昇に向いていることで、3月1日~5日の週は米2月雇用統計よりも、米FRB(連邦準備理事会)当局者の発言が重要視されることとなりました。今回は、注目された米FRB当局者の発言を確認し、原油先物市場、米2月雇用統計結果から、今後のドル円相場を予想します。
東日本大震災から10年、改めて確認したい日本の防災・減災政策と注目企業
菅政権でも進められている国土強靭化
国土強靭化という言葉を知っていますか?国土強靭化とは、大雨や津波、地震、火山噴火、異常気象等の自然災害に対して、防災や減災を図ろうとする政策のことです。国土強靭化は東日本大震災以降、株式市場で注目されてきた投資テーマの1つですが、今年2月に福島県沖で最大震度6強となる強い地震が発生したことや、今年は東日本大震災から10年を迎えることなどから、改めて注目が集まる可能性があります。そこで今回は、国土強靭化に関する政策の内容や、恩恵を受けそうな関連銘柄を紹介したいと思います。
TikTokのライバル動画アプリ「快手」が香港市場に上場、注目は“投げ銭”と“網紅”の経済効果
動画投稿とライブコマース
2月5日、中国で動画投稿アプリ「クアイショウ(快手)」を運営する快手科技[クアイショウ・テクノロジー](香港:1024)が香港市場に上場しました。同社は主にショート動画やライブ動画、ライブコマースのプラットフォームを運営しており、2020年9月時点のデイリー・アクティブ・ユーザー数(毎日1回以上アプリを利用する人)は約3億人と中国の「ティックトック(TikTok)」の約6億人に次ぐ業界第2位の規模を誇っています。今までソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)と言えば、欧米を中心とした「フェイスブック(facebook)」や「インスタグラム(Instagram)」、「ツイッター(Twitter)」、アジアを中心とした「ウィーチャット(Wechat)」、「ライン(LINE)」など文字や写真を投稿するサービスが一般的で、人々にとって重要なコミュニケーション手段として広く普及してきました。しかし最近では、通信技術の進化に伴ってより直観的に情報を伝達できる動画投稿アプリの人気が急速に高まっており、SNSの主戦場は文字や画像から動画へとシフトし始めています。その中で、中国の「ティックトック
米長期金利が上昇しても2021年株式市場の強気は崩れない3つの理由
過度な金利上昇リスクは限定的
2月の世界の株式相場は、新型コロナの感染沈静化や、ワクチンの接種が広がりなどを受けて、月半ばにかけて堅調な推移を辿りました。しかし、米長期金利上昇への警戒感が強まると、月後半はやや軟調な展開となりました。そして、米10年国債利回りが1.5%を超えたところで、株式市場は一気にリスクオフに傾き、2月26日の日経平均株価は前日比1,200円以上、下落しました。それまでの急ピッチな株価上昇で、株式に割高感が指摘されていたタイミングで、米金利の上昇が下落の引き金を引いたかたちです。とはいえ、現段階では株式市場の参加者は比較的、冷静さを保っているように見受けられます。米金融当局がすぐに金融緩和政策の方針転換を図るとは考えにくく、過度な金利上昇には適切に対応していくと見られるためです。今のところ、米10年国債利回りが上昇し続けるリスクは限定的と考えられます。依然として、新型コロナの感染沈静化と、それによる経済正常化のシナリオは不変です。また、米国で昨年末の景気対策に続く追加の景気刺激策が、バイデン新政権のもと、導入に向けて粛々と準備が進められていることも相場の支援材料です。他方、企業業績は実績の好調
中国の野心的目標が明らかに?今年の全人代は例年以上に注目すべきと考える理由
環境政策や金融政策方針にも注目
コロナ禍からいち早く回復を遂げた中国では、3月5日から全人代(全国人民代表大会)が開催されます。その中で、コロナ対応から脱却した中長期的な成長を見据えた政策が議論、採択される予定です。例年のような経済政策方針に加え、ハイテク製造業や環境関連など中長期的な投資テーマとなる事柄への言及がなされる見通しのため、その内容を例年以上に注目すべきと考えています。
金利上昇でテスラ株が急落!「金利が上昇すると株価にマイナス」はなぜなのか
“デュレーション”を考える
2月12日にオンライン形式で開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、米国のイエレン財務長官は新型コロナウイルス危機からの脱却へ「今こそ大胆な財政出動に踏み切るときだ」と主張しました。イエレン氏はこれに先立つテレビのインタビューでも同様の主張を述べており、追加経済対策がいよいよまとまりそうとの機運が高まっています。議会の方でも民主党は今週中に下院で1.9兆ドルの追加経済対策の法案を成立させる見通しと伝わりました。民主党上院トップのシューマー院内総務も、3月中旬までに上院で経済対策法案を成立させることに前向きな姿勢を示しています。これに加えてワクチンの普及で経済が回復するとの見通しも強まってきました。米南部を中心とした寒波の影響でワクチンの流通に一部で支障が出ていたましたが、サキ大統領報道官は「今週中に配送の遅れを取り戻す」と述べました。さらに、バイデン政権は23日、ワクチン供給量を増やすと明らかにしています。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にありますが、こうした政府の対応でコロナ感染拡大が抑制される期待が高まっています。景気回復期待を背景にコロナ禍で打
企業の将来像が分かる?キリン、日立、伊藤忠、個人投資家も一読すべき企業の「統合報告書」とは?
価値創造ストーリーを描く
ESG投資家が投資判断時に活用する情報のひとつに「統合報告書」があります。これは「財務データ(売上や利益など損益計算書、現預金や純資産など貸借対照表のデータ)」に加え、「非財務データ(経営者の能力や経営理念、社員のモチベーションの高さやスキル、商品開発力、技術力など決算書に出てこない情報)」の両方の観点から企業の方針や経営についてまとめたものです。近年、発表数は増加基調にあり、2010年時点の23社に対し、20年10月には565社にのぼりました。今回は、個人投資家にとっても有用な統合報告書について解説します。
トヨタ、サムスンらが続々参入、EV用全固体電池の世界的開発競争で注目される銘柄は?
EV市場のゲームチェンジャー
CO2排出規制強化の動きが世界に広がり、ガソリン車から電動自動車(EV)へのシフトは、もはや後戻りできない、世界的な流れとなっています。ただ、EVは弱点として、ガソリン車並みの航続距離を確保しようとすると、リチウム2次電池の搭載個数を増やす必要があります。そうすると、高コストで車重も重くなり、以前より改善されたとはいえ充電に時間がかかります。さらに、電解液に発火しやすい石油由来の液体を使っている、といった課題があります。こうした課題に対して、正極や負極に使う材料を工夫して重量当たりの容量を増やしたり、電池を水で冷やして安全を担保したりしていますが、抜本的な解決にはなっていません。これらの課題をクリアするには、新しいアプローチが必要であり、その筆頭として、期待されているのが全固体電池です。今回は、この全個体電池について解説します。
トランプ大統領より攻撃的なバイデン政権の議会運営、株価に水を差すリスクは?
超党派の合意をはやくもあきらめ
米国のバイデン大統領は、就任に合わせて総額1.9兆ドルのという景気対策を発表しました。その名も「アメリカンレスキュープラン」です。このプランをめぐり、バイデン政権の攻撃的とも言える議会運営方針が見えてきました。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
米国株と日本株市場に新たな動きが?日経平均3万円以降のシナリオを探る
上昇相場はどこまで続く?
新型コロナウイルスの到来から早1年。世界的にワクチン接種が始まり、徐々にウイルスとの闘いの収束が見えつつある中、株式市場は好調さを維持しています。米国市場は1月末に久々の調整を見せたものの2月に入り下げ幅を取り戻し、主要指数での最高値更新が続いています。日経平均株価も2万7,000円台半ばで新年を迎えた後、急ピッチで上昇し2月15日は大台の3万円台に到達しました。バブルとの声も徐々に大きくなる中、上昇はいつまで続くのでしょうか。ここまでの値動きと今後のリスク要因について見ていきましょう。