はじめに

空売りにはご用心

株価が下がると儲かるという取引は他にもあるのですが、「信用取引で売る=空売り」が株価が下落しても利益が出せる取引ということで、ここ数年多くなってきています。

今回も新型コロナウイルスの感染拡大で株価が下がるのではないかとの思惑が広がったことで空売りが増え、空売りが増えるとその後買いが増えるということで結果的に株価が上昇する一因となりました。

このように、空売りというのは損失がとても大きくなることがあるので、非常に気を付けなければならない取引です。

具体的に見てみましょう。ある会社の株を1,000円で100株を買ったとします。この会社がもし倒産してしまった場合、1,000円×100株=10万円ですから、10万円がゼロ円になってしまうことになります。

これに対して、1,000円で「空売り」した株が10,000円まで上昇してしまった場合を考えてみます。1,000円×100株=10万円で先に売った場合、10,000円×100株=100万円で株を買い戻すことになるので、差し引きで90万円の損失になってしまうのです。

さらに上昇して株価が30,000円まで上昇すると、何と290万円まで損失がふくらむことになります。(実際にはそこまで損失が膨らむケースは稀ですが…)

このように、株価が上昇していても利益が出ている人ばかりではなく、安く売ってしまって後悔している人がいるということがわかります。逆に、自分が損失を出してしまったときに、利益が出ている人もいます。そして「いいところ」で売ってしっかりと利益を確保した人もいるかもしれないということなのです。

自身のポジションに意固地になった結果…

筆者は、空売りはしないほうがいいと常々言っていますので、自身でほとんど空売りをすることはないのですが、同じような経験は何度もしています。

この先は価格が下がると思い、下がったら利益が出るというようなポジションを持っていたら株価が上昇。さらに「明日は下がるだろう」と思っていたらその後なんと16日も連続して上昇したことがありました。

「さすがに5日も連続すれば6日目には下がるだろう」、「6日も連続して上昇したのだから明日にはさすがに下がるだろう」、などと思っているうちに16日も連続して上昇し、大きな損失となってしまったのです。

そして、株価が大きく上昇した要因をよくよく考えてみると、筆者のように皆が5日も連続して上昇したのだから…、と考えて空売りをしていて、下がらないけれども売ってしまっているので買わなければならない、ということが続いたので大きな上昇となったのです。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介