はじめに

失敗の許されないモデルチェンジ

そこでホンダは「いいものは変える必要がない」と判断。初代N-ONEのデザインは踏襲されることになりました。この決断は本当に勇気が必要だったと思います。確かにN-ONEのデザインはいまだに魅力的ですが、「変わり映えしないじゃないか」という意見が大勢を占めたら、フルモデルチェンジは失敗ということになるかもしれません。実際にエンジニア達は相当に悩んだと聞きました。

それでなくとも、ホンダのNシリーズにはN-BOX、N-WGN、N-VANと商用も含めてですが途切れなくラインアップされていますから、N-ONEの成否によっては必要性や存在意義までもが議題に上ることだってあるわけです。だからこそ失敗の許されないモデルチェンジなのですが、それを切り抜けるために「このいい流れは継続すべき」という意見でまとまったということです。そしてこのデザインが、ユーザーが喜んでくれるものなのか、カーライフを楽しくしてくれるものなのか、とにかくユーザー目線で考え抜いた結論だというのです。

目の前に登場した2代目のN-ONEは確かに先代との大きな差を感じることがありませんでした。これをホンダはこだわり抜いた「タイムレスデザイン」と呼びました。その歴史の始まりは、先代のN-ONEではなく、もちろんホンダ発の量産軽自動車であるN360以来、半世紀以上にわたって継続されてきた「丸・四角・台形」という特徴的な外観のデザインを継続するためのまさにコンセプトともいえる重要なワードなのです。

変わらないといってもフロントマスクは少し立ち気味になっていますし、デザインも少し違います。何よりも細部を見れば質感が向上していることが理解できるのです。ぱっと見の変化は少なくとも、確実に進化を見せています。
もちろん、この変化をユーザーがどう捉えるかが重要なのです。安くとも160万円あまりの金額を支払ってくれるか? が問題なのです。

一方でユーザーは見た目の変化だけで、フルモデルチェンジの出来具合を判断するのでしょうか? 室内の広さや使い勝手といった実用性、さらには先進の安全装備など、いくつもの最先端技術や新しいホンダのアイデアにだって注目しているのです。

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