はじめに

日経平均だけで全てを語るのは無理

また、日経平均株価はかなり歪みのある株価指数だと考えます。日経平均株価の構成比率を見てみると、ユニクロを運営するファーストリテイリングが1銘柄だけで13%を超えており、ソフトバンクグループが約7.5%、東京エレクトロンが約5.5%、ファナックが約3.3%です。上位の銘柄だけでかなりの影響力を持っていることが分かります。

この結果、日経平均株価が前日比でマイナスなのに、株式市場全体では値上がり銘柄数の方が、値下がり銘柄数よりも多いということはよくあります。こう考えると、株価が実体経済を正確に反映することもなければ、日経平均株価が株式市場の状態を表しているとも言えません。

このように考えると、日経平均株価だけを見てバブル崩壊と騒いだり、景気について語ったりすることがいかにおかしいかが理解できると思います。ところが、専門家と呼ばれる人でさえ日経平均株価の動きを引用して金融政策について語ったりしているのが実情です。

肩書きが立派な人がそれっぽいことを書いていると、ついつい鵜呑みにしてしまいがちです。しかし、意見の基になっている数字の内容や性質をしっかりと理解したうえで、自分の頭で考える習慣を身に付けましょう。

株価だけで判断するリスク

人間はついついキリのいい数字に意味を求めがちですが、それは株価も同じのようです。メディアでバブル崩壊に警鐘を鳴らす記事を目にする機会が増えたのは、やはり日経平均株価が3万円という大台を超えてからだと思います。しかし、株価は企業の業績や保有資産、今後の成長性など複数の要因から形成されます。

極端な話をすると、業績がずっと伸び続け、今後もその成長が期待できると投資家が思うのであれば、3万円だろうが、4万円だろうが株価も上昇し続けるわけです。キリのいい数字に達するたびに、利益を確定する動きも見られますが、裏付けとなる業績や期待感があるのであれば、買いに入る投資家もいるわけです。

そう考えると、株価という表面的な数字だけで判断するのはおかしく、企業業績やPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標、為替や金利の水準など、複数のデータに目を向けて、総合的に見ていく必要があるのです。

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