全国の景気ウォッチャー1837人は「新型肺炎」の影響度をどう見ているか
さっぽろ雪まつりは25年ぶりの閑古鳥
今年で71回目を迎えた「さっぽろ雪まつり」は、厳しい環境下の開催になりました。記録的な少雪による雪不足にも見舞われ、雪まつりに使う雪もかなり遠方からの輸送が必要な状態でした。これに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスです。中国からの観光客が大幅に減少しただけでなく、感染を心配した地元の小学校や幼稚園が団体来場を取りやめたようです。開催期間中の来場者数は202.1万人で、過去最高だった昨年の273.7万人に比べて26.2%減少しました。内訳をみると、大通会場の来場者数は前年比▲18.6%(157.5万人)でしたが、つどーむ会場が同▲44.5%(44.6万人)と大幅に減少しました。リーマンショック翌年にあたる2009年の208.0万人、東日本大震災の翌年である2012年の205.4万人を下回る数字です。人数比較が長年わたり可能な大通会場分で比べてみると、1995年の150.4万人以来、25年ぶりの少ない来場者数となりました。新型コロナウイルスのマイナスの影響が大きかったことがわかる数字です。
東京オリンピックが終わると、日本の景気は本当に悪くなるのか
前回大会時と足元の状況を徹底比較
今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される年です。この大イベントの影響は、昨年のラグビー・ワールドカップ(W杯)以上に大きなものが期待されます。ラグビーW杯では、日本代表が10月13日のスコットランド戦で勝利し、史上初の決勝トーナメント進出を決めた日の翌営業日となった10月15日の日経平均株価は、前日比408円34銭も上昇しました。スコットランド戦は39.2%という高い視聴率を記録しており、人々のマインドに少なからぬプラスの影響を与えたと考えられます。また、大会期間を通じて、多くの訪日外国人客が日本を訪れました。日本政府観光局の推計値では、9~10月の出場国からの訪日外国人客は前年比29.4%増となっています。インバウンド効果も大きかったとみられます。1月14日に公表された2019年12月分の景気ウォッチャー調査では、「東京オリンピックに向けて消費マインドの高揚と東京オリンピック関連商品の販売効果に期待している(四国:スーパー<店長>)」をはじめとして、前向きなコメントが散見されました。12月の「景気ウォッチャー調査」先行き判断でオリンピックに言及したウォッチャーは、回
レコ大候補「パプリカ」と今年の漢字「令」に隠された景況感の暗号
子供の歌がヒットすると景気はどうなる?
世間はすっかり年末ムードです。12月12日の「いいじひとじ」の漢字の日に京都・清水寺で同寺貫主が揮毫するニュースは、年末の風物詩となっています。2019年の「今年の漢字」は「令」が選ばれました。また、12月30日には日本レコード大賞の発表があります。今年で61回目となる日本レコード大賞候補の優秀作品賞10作品の中には、小中学生ユニットFoorinが歌う「パプリカ」が選ばれています。同曲は2020応援ソングプロジェクトによる応援ソングです。実は、今年の漢字に「令」が選ばれたことと、「パプリカ」が今年のヒット曲になったことからは、日本の景気の先行きについて共通した暗示が読み取れます。2つの事象が指し示す景況感とは、明るいものなのでしょうか。
「嵐」のNHK紅白歌合戦出場から占う、日本の景気の行方
年末の恒例行事に意外な法則があった
令和元年も残すところ、あと1ヵ月半になりました。11月下旬には、大晦日に行われるNHK紅白歌合戦の出場歌手も発表される予定です。今年の司会は白組が「嵐」の櫻井翔さん、紅組が綾瀬はるかさんとすでに発表されているので、嵐の11年連続11回目の出場は確実でしょう。ところで、景気と嵐の関係をみると、嵐が出場している10回の年末はすべて景気拡張局面という不思議な関係があります。
ラグビー日本代表は「日本の景気後退」を食い止めることができるか
実は重要な「心理面からの悪化回避」
ラグビー日本代表が快進撃を続けています。10月13日には、因縁の相手であるスコットランド代表を破り、史上初の決勝トーナメント進出を決めました。これと対照的な動きをみせているのが、日本国内の景気です。天候をはじめとした要因から、個人消費などの経済指標は7月分で一時的に悪化。8月分、そして一部結果が判明している9月分は、消費増税前の駆け込み需要も出て、底堅い内容になっていますが、米中貿易戦争に代表される不透明な国際情勢や消費税増税の影響などから、マインド指標は実態に比べて悪化が目立つ状態です。今後はさらに、記録的な大雨と多くの河川での堤防決壊をもたらした台風19号による被害の影響が加わります。総合的にみると緩やかな回復が続いていると思われますが、微妙な局面でしょう。こうした状況下、景気動向指数の機械的判断は、8月分で4ヵ月ぶりに景気後退の可能性が高い「悪化」に転じてしまいました。心理面からの悪化で本当の景気後退に入ることが回避できるかどうかの正念場です。
消費増税、日韓問題… この国の景気は“曲がり角”に差し掛かったのか?
景気ウォッチャー最新調査を読み解く
9月9日に公表された8月の景気ウォッチャー調査では、ある指数が注目されていました。景況感の方向性を示す「現状判断DI」です。最新調査では、消費税増税時期を挟む「先行き判断DI(季節調整値)」は前月差4.6ポイント低下し、39.7に悪化しましたが、注目の現状判断DIは天候の回復などで前月差1.6ポイント上昇し、42.8まで回復しました。この現状判断DIが注目されていたのは、8月8日に公表された7月調査で41.2と、3ヵ月連続で悪化し、熊本地震が発生した2016年4月以来、3年3ヵ月ぶりの低水準となっていたためです。季節調整値のある2002年1月以降の211ヵ月中で、低いほうから39位タイ。これより低い数字の多くは2009年までのもので、2010年以降は東日本大震災のあった2011年3月、4月、5月と、消費税率が引き上げられた2014年4月の4回しかありません。街角景気の景況感はかなり微妙なところに来たといえます。
進次郎・滝クリだけじゃない、「令和婚」が示す日本の景気動向
改元が及ぼす個人消費への影響度
自民党の小泉進次郎・衆院議員とフリーアナウンサーの滝川クリステルさんの結婚をはじめ、「令和婚」が多く報道されています。厚生労働省の統計では令和婚の動向はまだ5月分しか確認できませんが、前年同月比はほぼ倍増です。令和婚を挙げたカップルが多かったことがわかります。新元号・令和を含む最初の四半期である2019年4~6月期実質GDP(国内総生産)成長率の第1次速報値は前期比年率+1.8%と、3四半期連続のプラス成長になりました。牽引したのが個人消費と設備投資です。実質個人消費では、10連休での旅行需要のほかに、令和婚に絡んだ需要などが出たものと思われます。このように、改元は人々の生活面に大きな影響を及ぼす出来事だといえそうです。データで詳しく確認してみたいと思います。
エルニーニョ終息、“ガチ夏”到来で日本の景気はどうなる?
冷夏回避で夏物の需要は増えるか
6月10日発表の気象庁「エルニーニョ監視速報」によると、「今後夏はエルニーニョ現象が続く可能性が高い(70%)」ということでした。「エルニーニョ現象」が発生している夏は、冷夏になりやすい傾向があります。猛暑が続いた昨年とは打って変って、7月上中旬の東京の猛暑日はたった1日でした。しかし、7月10日発表分では「エルニーニョ現象は終息したとみられる」に判断がにわかに変わりました。7月24日以降、予報によると8月1日まで東京の最高気温は30度を超え、真夏日が続くもようです。遅ればせながら、今夏は冷夏になる可能性はなくなったのではないでしょうか。夏らしい夏が到来するとなると、日本の景気にどのような影響を及ぼしそうなのか、考えてみたいと思います。
景気は悪くない?7月に基調判断が上方修正されそうなワケ
「悪化」ではなく「下げ止まり」?
5月27日に発表された景気動向指数・一致CIの3月分改定値は、生産指数などは上方修正されたのですが、「所定外労働時間の減少などを新たに反映して」前月差が0.2ポイント悪化し▲1.1となり、基調判断も「悪化」のままでした。同日時点では、一致CIは台風・地震で9月分の挽回生産をした2018年10月の103.9をピークに、2019年3月の99.4にかけて低下していました。6月7日に発表された4月分速報値での景気動向指数の基調判断が2ヵ月連続の「悪化」となる中、2018年10月を山として景気後退局面に入ったと考える人も多くなった可能性があります。ところが、5月27日の0.2ポイントの下方修正は、本来なら生じなかったものが、厚生労働省が毎月勤労統計3月確報値を発表延期としたために生じた事態だったのです。また、6月7日発表の4月分速報値での判断は「悪化」のままでした。しかし、一致CIのピークは10月で変わらないのですが、ボトムは3月から1月の100.4になり、4月の101.9にかけて改善傾向となっています。ひょっとすると7月5日発表の5月分速報値で、景気動向指数の基調判断が「悪化」から「下げ止まり
予想外の「GDPプラス成長」、景気は良いのか悪いのか
「1~3月期+2.1%」を読み解く
5月20日に発表された1~3月期の実質GDP(国内総生産)の事前予想は「マイナス成長」か「横ばい推移」というものでした。1週間前の5月13日に発表された3月分景気動向指数の機械的判断は、6年2ヵ月ぶりに「下方への局面変化」から「悪化」に下方修正されていたこともあり、GDPも悪いはずだと思われていました。「悪化」という判断は景気後退の可能性が高いことを示すので、この判断になったことで景気後退説が一部に広まりました。「景気は、緩やかに回復している」とし、景気拡張期間が74ヵ月と戦後最長を更新した可能性があるとみた、政府の1月の月例経済報告での判断との違いが注目されています。1~3月期の実質GDPの結果は前期比年率+2.1%成長と予想外の2四半期連続のプラスとなりました。+2%台の高めの成長率を予測した向きは皆無でした。なぜ予測は外れたのでしょうか。また本当の景気の状況はどうなのでしょうか。
敏腕エコノミスト「靖国神社の桜」が示唆する日本の景気動向
景気拡張局面は続いているのか
2012年12月から始まった景気拡張期間が今年1月で74ヵ月と、いざなみ景気の73ヵ月を抜いて戦後最長になったという見方があります。その一方、戦後最長更新は“幻”で、2018年10月・11月頃をピークに後退局面入りしているという見方をする人もいます。このように景気は微妙な局面にありますが、今年の桜は「景気が拡張局面にあること」を示唆しているようです。その理由を解説します。
「嵐」のCD初動売上枚数が“日本の景気指標”という衝撃事実
活動休止までは景気を下支え?
2020年12月31日での活動休止を発表した「嵐」。国民的人気グループである彼らのシングルCDの初動売上枚数(発売日から最初の1週間の売り上げ)などは、長きにわたり私の景気動向の早期把握に役立ってきました。今回は、これまでの「嵐」のCDによる景気動向分析を振り返るとともに、活動休止までの2年弱の間に彼らの活動が景気に及ぼす影響に関して考察してみることにします。
紛糾の「統計不正問題」、多くの批判が“的外れ”な根本原因
“経済分析のプロ”が一刀両断
厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題が国会で問題になっています。「アベノミクスの成果を強調するために結果をねじ曲げたのではないか」という、うがった見方をする人もいるようです。国会の議論では、「共通事業所ベースの数字が正しく、そのベースの実質賃金の伸び率を公表しないのはおかしい」という趣旨の意見もあります。しかし、2018年の数字が強めに出たのは、同年1月に実施された標本交替の影響が少なからず働いている面もあり、その際に「経済センサス-基礎調査」の影響などが出たようです。今回は「毎月勤労統計」について考察してみたいと思います。
20日が経過した2019年、目先の景気は良いのか悪いのか
身近なデータが示唆する足元の景気
2019年は年初から、株価などのマーケットが波乱の展開となりました。1月3日の朝の一時1ドル=104円台の円高というフラッシュクラッシュ(瞬間暴落)に代表されるように、年末年始は円高ドル安方向にドル円レートは動きました。直近12月時点では、エコノミストが懸念する景気腰折れの2大懸念材料は「保護主義の高まり」と「中国景気の悪化」でした。しかしここに来て、昨年前半で最大の懸念材料だった「円高」を挙げる人が再び増加してきました。実は、最近のこうした動きは“誰でも作成できる意外な先行指標”が12月前半に示唆していました。この先行指標を含めた身近なデータを分析することで、まだマクロ統計に現れていない、足元の景気基調を探ってみたいと思います。
「紅白」サブちゃん歌唱曲が示唆する日本経済の先行きは?
今年の漢字「災」を吹き飛ばせるか
今や年末の風物詩となった「今年の漢字」は、その年の世相を表すものとして注目されています。例年、京都・清水寺で同寺貫主が揮毫し、メディアにより大々的に報道されます。2018年で24年目を迎えましたが、振り返ると選ばれた漢字がその年々の景気の良し悪しを映しているように感じられます。2018年7~9月期の実質GDP(国内総生産)成長率・第2次速報値は自然災害の影響が大きく、前期比年率▲2.5%とマイナス成長になりました。また、夏場の自然災害の影響で景気動向指数を使った機械的な景気の基調判断が、それまでの「改善」から、9月分と直近10月分は「足踏み」に下方修正されています。2018年の「今年の漢字」である「災」は、このような景気の落ち込みの要因を示唆するものになりました。
弱含む経済指標、“人気お笑い番組”から景気変調を点検
アベノミクス景気はどうなる?
内閣府・景気動向指数を使った機械的な景気の基調判断で、9月分は「足踏みを示している」に変更されました。それまで最上位の「改善を示している」という判断が2016年10月分以降、23ヵ月連続して続いていたので、久しぶりの下方修正となりました。景気動向指数の一致系列の第1系列に採用されているのが鉱工業生産指数ですが、この9月分は前月比マイナス、そしてそれを含む7~9月期は前期比マイナスでした。また7~9月期実質GDP(国内総生産)も、前期比年率▲1.2%とマイナス成長になりました。このように、主要経済指標の多くが足元の7~9月期に変調をきたしています。息の長い景気拡張局面を続けてきたアベノミクス景気はどうなるのでしょうか。足元の景気を点検したいと思います。
セ・リーグ優勝チームと日銀短観の知られざる法則
景況感は新聞報道ほど悪くない?
10月1日に発表された、9月調査の日銀短観。これを受けた主要各紙の見出しには「景況感3期連続悪化」という言葉が躍っていました。これだけ見ていると、「景気は相当悪いのでは」と感じた方も多かったかと思います。しかし、本当にそうなのでしょうか。今回は「日銀短観」について掘り下げてみます。
知る人ぞ知る「“爆速”経済統計」の徹底活用術
経済統計にも速報化の波
経済状況を把握する統計は公表までの時間が短いほど「今」を知ることができ、役立ちます。パソコンに続きスマートフォンが普及し、インターネットを使った調査も、従来に比べ一層簡単にできるようになってきました。こうした時代の流れを受けて、最近は新しい「速報化」の動きが出てきました。内閣府は、2016年9月から「消費者マインドアンケート調査」(試行)という新しい調査を実施してきています。「消費動向調査」など従来の調査では調査対象に選ばれないと回答する権利はありませんが、消費者マインドアンケート調査は誰もが自発的に自由に参加できることが最大の特徴です。結果は内閣府の消費動向調査のホームページ(HP)上に掲載されますが、残念なことにまだ試行的な調査ということもあってか、新聞に掲載されたことがないので、有用なのに知っている人は極めて少ない調査です。