中央銀行がデジタル通貨を導入?命名に隠された意図
お金のことば19:官製デジタル通貨
コインチェック社における仮想通貨NEMの流出騒動など、ここ最近の経済界・金融界では、仮想通貨の話題に事欠かない状況が続いています。そんななか世界各国から聞こえてくるのは、少し乱暴に言うならば「中央銀行版のビットコイン」を検討する動きです。つまり国家が発行し、必要ならば法的な裏付けも行い、ブロックチェーンなどの最新技術も導入する新しいデジタル通貨――ここでは便宜的に「官製デジタル通貨」と呼びましょう――を模索する動きがあるのです。なかには、そのような新通貨の運用を始めた国すら存在するほどです。この記事で注目したいのは、そんな官製デジタル通貨の「命名」に関する事情です。世界中で官製デジタル通貨の命名が行われているのですが――例えばロシアの「クリプトルーブル」やベネズエラの「ペトロ」など――その命名にはいくつかのパターンがあるのです。しかもその命名パターンの中には、新通貨の特徴・背景を如実に示すものも存在します。今回は、官製デジタル通貨の命名事情を分析してみましょう。
息を吹き返した「仮想通貨市場」、活況は続くか
直近最安値から2割上昇
今からちょうど50年前の1968年、「3億円強奪事件」が日本中を震撼させました。しかし、今年1月に発生したコインチェックのハッキングは、市場の値動きもあるとはいえ、この200倍近い金額が1日で失われました。これを受け、仮想通貨価格は一時4割下落しました。
ICOが諸悪の根源? 金融庁「仮想通貨研究会」の行方
第1回会合を振り返る
4月10日に開かれた金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」の第1回会合。同庁の会議室は傍聴者や報道陣で超満員となり、仮想通貨に対する世間の関心の高さがうかがわれました。世間の耳目が集まる中、初回の会合ではどのような議論が展開されたのでしょうか。オブザーバーによる説明と会合メンバーから出された意見の要旨を振り返ってみます。
やっと貯まった100万、そろそろ投資を始めてもいいですか?
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は横山光昭氏がお答えします。なかなか貯蓄ができなかったのですが、ずっと頑張ってやっと100万円ほど貯めることができました。このくらい貯蓄ができると、もう投資を始めてもよいでしょうか。貯蓄をしても利息はほとんどつかないし、仮想通貨や投資などで儲けた話を聞くと、自分も早く始めなくてはと焦ります。効率よく、しっかりとお金を増やしていきたいです。〈相談者プロフィール〉・男性、34歳、妻(33歳・専業主婦)、子供1人(5歳・幼稚園)・職業:会社員・手取り月収:32万3,000円(残業により変動あり)・ボーナス手取り:30万円(年2回支給)・貯蓄額:104万円・投資経験:なし
完全詳報!マネックス「コインチェック買収」会見全容
1時間の会見で何が語られたか
4月6日午後4時前。マネックスグループによるコインチェック(CC)の完全子会社化に関する会見が開かれるホテルオークラ東京の周辺は、灰色の雲が垂れ込めていました。これは、ただの偶然か、はたまた両社の今後を暗示するものなのか。この日の会見には、マネックスからは松本大CEO(最高経営責任者)、勝屋敏彦COO(最高執行責任者)が、CCからは和田晃一良社長、大塚雄介COOが出席しました。いったいどんな内容が語られたのか。7,000字超の完全詳報をお伝えします。
「ダーウィン」が来る? ITソリューション業界の最新潮流
6つの頭文字で注目銘柄を探る
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が残るのでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」――。チャールズ・ダーウィンの『種の起源』の中に、こんな言葉が出てきます。日本のITソリューション業界は、企業数が多く、多重下請けとなるピラミッド構造もみられ、海外と比較すると独自の生態系(エコシステム)を形成していると言われています。一方で、テクノロジーは日々進化しています。そのため、企業が生き残るには変化への対応が重要です。今回は、「DARWIN(ダーウィン)」というキーワードで業界におけるテクノロジーのトレンドを整理し、変化に対応しようとしている企業を取り上げます。
“中にいた人”から就活生へ、「日銀は箔付けの場ではない」
ZOZO田端信太郎氏への返信
私がプロピッカーを務めているニュース共有サービス「NewsPicks」に、ライブドア、LINEなどで執行役員を務め、スタートトゥデイ(ZOZOTOWN)に転身された田端信太朗さんが就活生に向けて語った「22歳だったら、日銀経由で仮想通貨業界に行く」という記事が、今週掲載されました。題名に惹かれた面もあって読み始めてみると、純粋に面白い記事で、一気に読み終わりました。心に響く言葉がいくつもありましたが、全体としてすんなり受け入れられないものが残りました。それは、就活生の皆さんに「これをこのまま受け取って欲しくない」という気持ちでした。
金融庁が仮想通貨業者「大量処分」に込めたメッセージ
監督官庁の真意を読み解く
金融庁は3月8日、これまでの立ち入り調査を踏まえた仮想通貨交換業者に対する処分を発表。まだ正式に登録が済んでいない「みなし業者」5社のうち、2社に1ヵ月の業務停止命令、3社に業務改善命令のほか、登録済みの業者2社に対しても業務改善命令を出すなど、大方の予想よりも厳しいものになりました。今回の処分をつぶさに見てみると、金融庁の仮想通貨業界立て直しに対する「本気度」がうかがわれます。こうした処分を受けて、今後、仮想通貨業界や関連サービスはどう変わるのでしょうか。
円はJPY、ドルはUSD、ビットコインは?通貨コードの仕組み
お金のことば13:通貨コード(前編)
普段から為替相場の情報をご覧になっている人は、USD/JPYとか、EUR/USDとか、GBP/USDといった表記も見慣れていることでしょう。それぞれ円/ドル、ユーロ/ドル、ポンド/ドルの省略表記ですね。つまりこれらは為替レートを示しているわけです。このようなアルファベット3文字による通貨表記は、世界中で利用されています。ちなみにUSDなどの略称をGoogleに入力すると、簡単に為替レートを表示できることをご存知でしょうか。例えばGoogleの検索窓に1 USD(注)と入力すると、その日の為替レート――例えば1ドル=105円といった情報――が表示されるのです(注:より確実には USD to JPY とするとよい)。さて、このように国際的に使用されているJPY・USD・EUR・GBPなどの略称なのですが、いったい誰が、どういうルールで決めているのでしょうか? 今回は、お金の略称――すなわち通貨コード――について掘り下げてみます。前編の今回は、通貨コードの「仕組み」と「その仕組みが及ぼした意外な影響」について紹介します。
仮想通貨“処分7社”、何が「停止」と「改善」を分けたのか
金融庁の判断基準はどこに?
金融庁は3月8日、先月から進めてきた立ち入り検査の結果を受けて、国内の一部の仮想通貨取引業者に行政処分を下しました。今回、処分の対象となったのは7社。登録済み業者とみなし業者、合わせて32ある国内の取引所の中から「問題あり」として指摘されたわけです。その中でも、「業務改善命令」よりも重い「業務停止命令」を受けたのが、FSHOとビットステーションの2社。いったい何が、この2社とその他の5社を分けたのでしょうか。同日に行われた金融庁の説明からひも解いてみます。
仮想通貨は「通貨」として失敗?仮想通貨の構造的な弱点
簿記の歴史物語 第24回
連載の更新が遅れているうちに、仮想通貨を巡る状況はかなり変わってしまいました。コインチェック社の仮想通貨NEM巨額流出事件が起き、さらにイギリスの中央銀行総裁がビットコインは通貨としておおむね失敗であると発言して波紋を呼びました。[1]失敗かどうかはともかく、一連の事件による価格の乱高下を見て、仮想通貨が極めて投機性の高い金融商品だと認識されるようになったことは間違いないでしょう。この記事を書いている2018年3月初旬には、仮想通貨への熱狂はやや冷めた印象があります。前年末~年初ごろのように、仮想通貨に関するニュースが連日バズりまくるという状況ではなくなりました。
リバランスの目安は年1回、資産運用の9割が資産配分で決まる
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。私は現在28歳の会社員です。株主優待の強い株をメインに12年程運用をしており、現在資産が1350万です。以下が内訳です。・日本株式:600万・投資信託:200万(日本100万、海外100万)・ロボアドバイザーによる海外投資:100万・円預金:300万・仮想通貨:150万長期的な安定運用を目指しており、運よく毎年6〜7%ほど利益が出ています。日本株は軒並み値上がりしているのですが、このまま持ち続けた方がよいのでしょうか?それともリスク分散のために日本株式を売り、海外系のものを買いバランスを取るべきでしょうか?その場合どのようなものを買えばよいかアドバイスが欲しいです。年収は額面490万ほどで、一人暮らし(家賃、光熱費会社持ち)、生活費は月11万ほどです。よろしくお願いします。(28歳 男性 未婚)
投資に仮想通貨…今人気の「お金・投資本」ランキング
フィンテック関連本が多数ランクイン
前回の「今売れている『お金・投資本』ランキング(2017年7月~9月)』から、早いもので3か月が経ちました。その間に、日経平均株価の急変動、またビットコインをはじめとした“新しいお金”=仮想通貨の価格が乱高下。仮想通貨の急な値上がりで1億円単位の資産を手にした「億り人」と呼ばれる人たちが現れる一方、1日で4割近くの急落なども起きており、メディアでも「ビットコイン」「仮想通貨」といったキーワードを日常的に目にするようになりました。それでは、全国の書店ではどのような「お金・投資関連本」が売れていたのでしょうか? 直近3か月(10~12月)の売上ランキングを発表します(日販 オープンネットワークWIN調べ/括弧内は前回の順位との比較です)。
「コインチェックはカス」、SBI北尾氏“衝撃発言”の真意
なぜ不正流出騒動に怒り心頭なのか
「コインチェックは本当に初歩的な問題。まったくナンセンス。最も腹が立つのは、システムにお金をかけるべきところを、CMにばかりお金をかけていたこと。こういう輩はカス中のカスだ」歯に衣着せぬ豪快な発言で知られるSBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長ですが、この日はいつになく強い言葉が並びました。仮想通貨取引所「コインチェック」から約580億円相当の仮想通貨が不正に流出した問題に、よほど腹を据えかねていたのでしょう。さらに、まくし立てます。「私には彼らが4百数十億円も返せるとは思えない。そんなにボロ儲けしていたのか。そうであれば、ちゃんと税金は納めていたのか。今どき現金でそれだけの額を払える会社は少ない。金融庁は徹底的に審査しないといけない」ここまで厳しくコインチェックを糾弾する北尾社長。その発言の裏側には、SBIが描く壮大な野望がありました。
コインチェック「流出問題」に私たちは何を学ぶべきか
問題の本質はどれだけ“ヤバいよ”?
弟:「兄さん、なんでビットコイン取引はコインチェックがいいんだよ?」兄:「兄さんが知らないはずないだろう」お笑いタレントの出川哲朗さんが一人二役で双子の兄弟を演じるコミカルなCMが、昨年12月から頻繁にテレビで放送され、皆さんの中にも見かけた方も多いと思います。仮想通貨取引所大手「コインチェック」のCMでしたが、1月26日、そのコインチェックから代表的な仮想通貨の1つであるNEM(ネム)が合計580億円、不正アクセスによって外部に流出したことが発表され、その後、このCMは放送されなくなっています。この事件は、仮想通貨業界全体にとってどれだけ“ヤバい”事態なのでしょうか。また、今回の流出事件を踏まえて、これから私たちはどのように仮想通貨と向き合っていけばいいのでしょうか。
ビットコインが問いかける貨幣の本質
簿記の歴史物語 第23回
つい先日、こんなまとめ記事がバズっていました。JPYとかいうアルトコイン糞すぎワロタ。発行上限なし、送金激遅、日銀砲で価格操作。SCAMだろこれ : IT速報ビットコインを始めとした仮想通貨取引に親しんでいると、日本円(JPY)がデメリットだらけに見えてくるという内容です。ここで指摘されている日本円――というか、既存の伝統的な通貨――の特徴は、おおむね正しいと言っていいでしょう。確かに日本円には、ビットコインのような発行上限はありません。クリック一つで送金処理が終わる仮想通貨に比べ、日本円では銀行の営業時間を待たなければ送金ができません。振込手数料はバカになりませんし、日銀による介入で価格操作が行われていることも事実です。「JPYってアルトコイン糞すぎ」という発想は、実は貨幣の本質に迫るものです。今、私たちが使っているお金は、貴金属と交換できない〝不換紙幣〟です。しかし歴史に詳しい人ならご存知の通り、江戸時代の東日本では金が、西日本では銀が本位貨幣として用いられていました。明治時代になるとこれが統一され、金本位制の「円」が流通するようになりました。いったいいつから私たちは、貴金属の裏付
仮想通貨にジャンク債、種まく“投信の伝道師”の野望
「モーニングスター」はどこに向かう?
投資を経験したことのある方であれば、一度は「モーニングスター」という名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。投資信託の評価を中心に世界規模の金融情報を配信している、投資家にとっては“投信の伝道師”のような企業です。そんな同社が1月24日、2017年度第3四半期(4~12月期)の業績を発表しました。これまで8年連続で2ケタの営業増益を続けてきましたが、今年度は第3四半期累計で1.8%の増益と伸びが鈍化。翌25日の株価も前日比で5%超の下落と冴えない展開となりました。しかし、決算発表当日に開かれた説明会での朝倉智也社長の言葉は、自信に満ちたものでした。その裏側には、モーニングスターが描く“脱・投信依存”の大いなる野望がありました。
総崩れの「仮想通貨」マーケットで何が起きているのか
ビットコイン、イーサリアムは半値水準
先週、仮想通貨マーケットは大きく揺さぶられました。ビットコインは1月16日に、一時1ビットコイン=100万円を割り込むレベルまで下落し、昨年12月に付けた最高値(同227万円程度)から半値以下になりました。他の仮想通貨でも、時価総額が2番目に大きいイーサリアムが終値ベースで、1月10日に付けた高値1イーサリアム=16万7,000円から、同月17日にはほぼ半値の8万9,000円まで下落。時価総額が3番目に大きいXRP(リップル)は、1月4日の375円から1月17日の102円まで、短期間で4分の1程度まで暴落しました。仮想通貨のマーケットで今、何が起きているのでしょうか。そして、価格の乱高下を繰り返す“新たな通貨”を、私たちはどう受け止めればいいのでしょうか。