米8月雇用統計が弱い結果でも、米テーパリング年内開始見通しに変更なしと読む理由
バランスとれた米FRBパウエル議長発言
9月3日(金)に発表された米8月雇用統計は、事業所調査ベースによる非農業部門雇用者数(以下 NFP)が前月比23万5千人増と、事前予想中心値の73万3千人増に比べてかなり弱い内容となりました。前月・前々月分は併せて13万4千人上方修正されましたが、この上方修正を含めても、かなり弱い内容です。ただ、米8月失業率は前月の5.4%から、市場予想通りの5.2%まで低下しており、一概に弱いとは言えないと思われます。
日経平均株価3万円回復!株価を上昇させた3つの要因と今後の見通しを解説
今後を占う2つの人事とは
あれよあれよという間に日経平均株価が3万円を回復しました。ついこの間一時2万7,000円を割り込んだ場面がありましたから、急速な上昇に驚かれている方も多いのではないでしょうか。なぜこのように急速に日本株は上昇したのでしょうか?筆者は3つの要因があると考えています。
日本株の転機は近い?過去の値動きパターンから反転時期を読む
9月に向け重要日柄が集中
新型コロナウイルス感染の拡大に歯止めが掛からないなか、トヨタの9月大幅減産の方針が伝わるなど、頼みの企業業績にも不透明感が浮上しています。海外でもコロナ禍からの経済正常化で先行した欧米や中国などで景気スローダウン懸念が意識される場面が増え、「世界の景気敏感株」とされる日本株への逆風も止みません。一方で、好調な企業業績を背景とした割安感は一段と際立つ状況にあり、日経平均ベースの予想PER(株価収益率)は12倍台、PBR(純資産倍率)も1.1倍台とかなりの悪材料を先行して織り込んだとも見られる水準に低下しています。きっかけ次第で大幅な水準訂正になる可能性も小さくないと考えます。今後9月に向けては、そうした転換を促すかもしれないいくつかの重要日柄が集中します。日経平均株価3万円超えの2月高値から約半年を経過し、株式需給の面でも信用期日絡みのポジション整理が一巡しつつあります。9月後半には自民党総裁選が行われる見通しで、その後の総選挙を見据えた経済対策への期待も高まりやすい時期に当たります。
中国は世界経済をけん引できなくなる?原因となる3つの変調を読み解く
7月の主要経済統計はいずれも市場予想から下振れ
新型コロナウイルスの感染再拡大と行動制限強化、製造業活動の減速など、足元では中国経済の変調が浮き彫りになっています。こうした変調の要因を紐解き、中国景気の先行きを考えます。
年内のドル円は108~110円台のレンジ相場か、米金融政策の行方と為替相場の展望
市場のテーマはFRBのテーパリング完了時期へ
いよいよ米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和縮小のタイミングが近づいてきたと思われます。デルタ変異株の感染拡大といった不透明要因もありますが、この先のFRBの金融政策とドル円の値動きを展望してみたいと思います。
世界の株式市場は「K字型」に、出遅れ日本株の回復ヒントはインドにあり?
日本株にもいずれ経済再開相場が訪れる見通し
足元では、新型コロナウイルスのデルタ型による感染の拡大が世界中で猛威を振るっています。一日あたりの感染者数が過去最多を更新する日本はもちろんのこと、一時期は一定レベルまで感染が落ち着いた欧米諸国でも感染者数が再び増加に転じているケースが散見され、経済・金融市場への影響に予断を許さない状況が続いています。とはいえ、実際の株式相場を見ると、コロナショックが起きた2020年3月当時とは随分と異なっていることが分かります。つまり、グローバルの株式相場が必ずしも総悲観に陥っているわけではなく、株価のパフォーマンスに明暗が分かれているということです。
米FRBテーパリング決定は年内か、今後の米金利と日米株価の動きを徹底予想!
米国株の健全な上昇が続くこと自体は、日本株にもポジティブ
一般に、米国の市場金利の動向と、日米株価の相対的な値動きには一定の関係があることで知られています。それは米国の市場金利が上昇する際に、米国株(S&P500)よりも日本株(TOPIX)の方が上がりやすいという特徴です。また、米国での金利上昇には、景気回復期待の高まりを伴うことが多く、景気に敏感な銘柄が物色される傾向があります。株式市場を構成する銘柄の特徴として、日本株には景気敏感株が多く含まれており、米金利が上昇し、景気敏感株が買われる局面では、日本株が米国株に対して相対的にアウトパフォームしやすいと考えられます。FRB(米連邦準備理事会)は18日、7月のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨を公開しました。市場ではテーパリング(金融緩和の縮小)の開始時期にさらなる注目が集まっています。今後の米国の市場金利は上昇へと向かうのでしょうか。
東京五輪が日本の景況感下支え?選手の活躍が消費・投資行動に及ぼした影響を読む
期間中の日経平均株価は上昇
東京オリンピック2020開会式の関東地区の世帯平均視聴率は56.4%で、1964年東京大会の61.2%に次ぐ高い数字となりました。なお、閉会式の視聴率は46.7%とこちらも高い視聴率で、国民の関心の高さが窺える数字になりました。この大会では視聴率が30%台になった競技が3つありました。まず、8/3(火)の男子サッカー準決勝・スペイン戦です。日本テレビで放送され視聴率は30.8%でした。日本が公式競技となって初の金メダルを獲得した8/7(土)野球決勝のアメリカ戦はNHKが放送し、前半は30.4%、後半は37.0%でした。8/8(日)の大会最終日に行われた男子マラソンはNHKが放送し、前半は23.3%でしたが後半上昇し31.4%になりました。新型コロナウイルスの影響で1年間延期された東京オリンピック2020大会は、様々な困難がある中での開催となりました。厳しい環境の中で準備を進めてきたアスリートの活躍に勇気づけられた人も多かったことでしょう。新型コロナウイルスが収束する兆しが見えない厳しい状況下でも、人々の消費行動や、投資行動にもプラスの影響を及ぼすと思われます。
デルタ型の猛威で中国「ゼロコロナ戦略」に暗雲、日本株に及ぶ中国リスクとは
日本株への逆風続く
新型コロナウイルスのデルタ型の感染が世界的に広がっています。ワクチン接種で先行する米国や英国では、感染者数は増加しているものの死者数の増加ペースが抑制されていることから、行動制限を緩める動きが続いています。ワクチン接種数が1億回を超え、接種完了率が40%に近づきつつある日本でも、感染の拡大と比較して死者の増加は抑えられています。一方、ワクチン接種が遅れているその他のアジア諸国では感染、死者ともに増加傾向が続いています。これまでアジアでは感染者、死者ともに欧米対比で低い状況が続いていました。しかし今局面では、直近で世界の新規感染者のおよそ2割、死者の3割ほどをアジアが占めるに至っています。こうした中、フィリピンではこれまでで最も厳格なロックダウンが実施されている他、マレーシアやタイなどでもロックダウンが強化されています。コロナの封じ込めを目指してきたオーストラリアでもロックダウンが繰り返されていますが、政権の方針は徐々にワクチン接種の加速へと転換されてきています。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
米テーパリング開始は早くて10月以降、雇用統計と当局発言から年後半のドル円相場を読む
米7月雇用統計直後はドル上昇、米国債利回り上昇
8月6日(金)に発表された米7月雇用統計は、事業所調査ベースによる非農業部門雇用者数(以下、NFP)が前月比94万3千人増と、事前予想中心値の87万人増に比べてかなり強い内容となりました。前月・前々月分は併せて11万9千人上方修正されました。新型コロナウイルスのデルタ変異株感染拡大が世界中で懸念されている中、2月分以降のレジャー部門を中心としたサービス業の堅調な雇用者増が引き続き全体の雇用増をけん引しています。加えて、8月は政府部門雇用者数が24万人増と、1~6月の月平均5万9500人増から大きく上振れしたことも影響したものと思われます。
日銀も動きだした、日本企業の気候変動対応は待ったなしの理由
企業収益に及ぼすインパクトは増大する可能性
昨年10月の菅首相の所信表明演説における2050年カーボンニュートラル宣言、及び今年4月に発表した2030年度の温室効果ガス排出削減目標で、日本は気候変動問題へのコミットメントを強化しました。これらの野心的な目標の達成に必要となる施策に関する議論が、足元において急ピッチで進んでいます。今回はその中でも特に重要とみられる分野、気候変動対応について、日本の対策を整理していきたいと思います。
日経平均は「年内に3万円回復」、日本経済が直面している“節目”とは
米金利の低位安定で米国株は高値更新へ
7月の世界の株式市場で、株価は比較的堅調な推移をたど辿りました。米国では主要株価指数が再び最高値を更新し、欧州でも独DAX指数が高値を塗り替えました。6月の米FOMC(米連邦公開市場委員会)直後には、米国での金融引き締め前倒しに対する警戒感から、世界の株式市場が一時的な動揺を見せる場面もありました。しかし、それが必ずしも米FRB(連邦準備理事会)のコンセンサスではないことが判明すると、米金利は低位で安定し、株式市場も落ち着きを取り戻しました。低金利下での今後の着実な景気回復への期待が、株価をもう一段押し上げたかたちです。一方で、日本を中心とするアジアの株式市場は、経済再開の遅れなどを理由に冴えない展開となり、株価は欧米のパフォーマンスに見劣りした状態にあります。ただ、こうしたパフォーマンスのギャップが、いわゆる「ワクチン格差」の結果としての「景気格差」によるものならば、いずれ、その問題は解消に向かうと見込まれます。ワクチン接種は時間さえかければ、遅れを埋め合わせることは十分可能で、「経済再開」は世界中に広がっていくと予想されるためです。今のところ、米FRBは急激な金融引き締めを回避する
日本株の悪材料はほぼ出尽くしか、夏枯れの今こそ“仕込み時”と読む理由
注目すべきは好決算を素直に評価できる相場になっている点
日経平均は本稿執筆時点の20日まで5日続落と冴えない展開が続いています。20日の日経平均は、前日のNYダウ平均が新型コロナウイルスのデルタ型の世界的な感染拡大懸念で700ドル超の下げとなったことを受けて、前日比264円安の2万7,388円と終値ベースで1月6日以来、約半年ぶりの安値に沈みました。もう7月も下旬で今年の後半戦に入っていますが、この半年の上昇分をすべて吐き出し年初の水準に逆戻りした格好です。盛り上がりを欠いたまま開幕を迎える五輪同様、まったく高揚感がないどころか、この日本株相場の動きには虚しさを覚えるばかりです。
東京五輪開幕直前、関連データを分析してわかった無観客開催でも期待できる景気へのマインド効果
6月景気ウォッチャー調査と五輪関連データ
7月12日から東京都に4度目の緊急事態宣言が発出されています。飲食業界・旅行業界を中心に5,000億円程度のマイナスの影響が出ると見込まれます。東京オリンピックはほとんどの会場で無観客での開催です。コロナ禍になる前は、オリンピック観戦にきた一般の外国人が、飲食、宿泊、観光などをすることで、4,000億円程度の経済波及効果を見込む向きもありましたが、一般の外国人の来日がないのでインバウンド需要はほとんどない状況です。コロナ禍という厳しい状況下で、緊急事態宣言によるマイナスとインバウンド需要喪失のダブルパンチを受ける飲食業界・旅行業界では、オリンピックの経済効果という言葉を出すと、「そんなものはない」として反発する人も多いでしょう。スタジアムなどの建設は経済効果が大きいものですが、去年までに終了していて、現在その効果は過去のものという感覚でしょう。しかし、世界中のトップクラスのアスリートが一堂に集い、全力で競うオリンピックは、人々の気持ちを前向きにします。スポーツの力のマインドに与えるプラス効果は大きいものがあると思います。コロナ禍で、アスリートの活躍に勇気づけられる人も多いのではないでし
米国の消費拡大はコロナ禍の反動だけでなく長期的にも期待できるワケ
コト消費、高額消費に強い回復を期待
2021年1~3月期(1Q)の米実質GDP(確定値)は前期比年率6.4%増と、前2020年10~12月期の同4.3%増から伸びが加速しました。GDPの最大部分を占める個人消費は、同11.4%増と、1960年代以降で2番目に大きく伸長。ワクチン接種の進展や米政府による現金給付等の経済対策が寄与しました。他にも住宅投資は同13.1%増と二桁の伸びが継続し、若い世代による世帯形成やコロナ禍によるライフスタイルの変化等から住宅購入が増加しています。なお、米連邦住宅金融庁が発表した4月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は前年同月比で15.7%上昇と、統計のある1991年以降最高の伸び率でした。
米国の景気・金融政策は転換点だが株高は続く?データから読む“有望な投資先”
ISM製造業指数、金融政策、株価の関係を検証
新型コロナウイルスの新規感染者数は国内では再拡大が懸念されていますが、世界全体でみると鈍化の傾向にあり、変異株の動向を注視しつつ各地で経済再開の動きが進んでいます。特に米国では世界に先駆けて景気が回復し、代表的な企業景況感であるISM製造業指数は3月に64.7まで上昇しました。これは実に1983年以来の高水準です。ただ、その後のISM製造業指数は5月61.2、6月60.6と、横ばい圏での推移となっています。その他の経済指標も高止まりはしているものの、さらなる加速は見込みにくい状況です。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
今年後半のドル円相場はどうなる?重要なのは9月以降の米雇用統計
米6月雇用統計はまちまちの結果で相場は乱高下
7月2日に米6月雇用統計が発表されました。まずは、その内容を確認していきましょう。
もう逃れられない「脱炭素」、G7サミットで再加速した削減目標と政策方針をまとめて紹介
SDGsの観点から「オリンピック開催」宣言にも注目
G7サミット(主要7ヵ国首脳会議)は6月11~13日、2年ぶりとなる対面方式で英国コーンウォールにて開催されました。その共同宣言では「自由や平等、人権の保護などの力を使って挑戦に打ち勝つ」とし、台湾の重要性や、新しいインフラ支援の枠組み創設など「対中国」で結束。国際協調を重視するバイデン米大統領が主導する形で、民主主義主導のG7が再起動しました。