キーワードは「コロナ慣れ」。2020年下半期のドル円相場を展望する
リーマンショックとは異なる市場心理
2020年もあっという間に折り返し点を過ぎました。ここまでの為替相場を振り返るとともに下半期を展望してみたいと思います。
回復続く米国雇用環境、ドル円市場が“無風”だったワケは?
6月統計公表、米国ならではの理由とは
米国内での経済活動再開が始まったのが5月後半。そのような中で6月5日に発表された米5月雇用統計の非農業部門就業者数は、マイナス想定だった市場予想よりも非常に強い、びっくりする強さだったことはまだ記憶に新しいと思います。
市場参加者「びっくり」5月の雇用統計、ドル円相場はどうなる?
「底打ち」でも懸念材料は…
米国内での経済活動再開(Reopen)が始まる中で、6月5日に発表された米5月雇用統計は、事前の市場予想よりも強い内容となりました。もともと、2020年5月中に発表されたソフト・データを中心とする他の米指標が、米経済の底打ち感を示していたことで、市場参加者の大半は「雇用減に歯止め」あるいは「失業増に歯止め」を期待していたものと思われます。
ドル円相場は110円台に突入、1月の「円高アノマリー」は今年も発現するか
過去3年は円高が急進
為替市場では、例年1月は円高ドル安に振れる傾向があることが知られています。この理由については、米国企業のレパトリ(国外資金の国内への還流)に伴うドル買いが年末で一巡し、需給的にドル買い圧力が弱まることなどが指摘されています。ただし、これだけだと説得力に欠ける印象です。過去の為替市場が実際にどう動いたのか、振り返ってみたいと思います。
「動かないドル円相場」の先行きは? 2020年の為替市場見通し
無風相場の裏で進行する“地殻変動”に備えよ
株式市場に先駆けて、為替市場では2020年相場が始まりました。ドル円相場は長らく値動きが乏しい状態が続いていますが、新しい年のマーケットはどうなるのでしょうか。為替相場に詳しい、みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔さんに、今年のドル円相場の見通しや金融市場の新しいテーマについて話を聞きました。
ドル円相場の「値幅」がどんどん小動きに、2020年はどうなる?
110円を挟んだ攻防が常態化か
ここ数年、ドル円相場の値幅は徐々に狭くなっています。来年はこうした傾向に変化が見られるのでしょうか。金利とその他の要因から検証してみたいと思います。
11月雇用統計を無事通過、それでも消えない「ドル円相場」の不安材料
失業率は約50年ぶりの低水準
12月6日に発表された11月分の米国非農業部門就業者数(NFP)は、市場予想の前月比+18.0万人よりもかなり強い内容の+26.6万人となりました。前月・前々月の上方修正も併せて4.1万人あり、極めて強い米雇用市場であることが証明されました。家計調査の米失業率も9月に並んで、約50年ぶりの低水準となる3.5%で、ほぼ完全雇用の状況と表現しても過言ではありません。
FXの損失100万円“塩漬け”状態、損切りの決断ができない
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、塩漬けになったFXをどうすべきか悩んでいる39歳の主婦。余剰資金ではあるものの損失額は100万円にも上り、損切りしたくてもなかなか踏ん切りがつかないといいます。FPの伊藤亮太氏がお答えします。塩漬けになったFXをどうするべきか、迷っています。2015年くらいに購入した米ドル、ユーロ、オーストラリアドルのFXが、マイナス100万円くらいになっています。余剰資金なので早急に現金化する必要はなく長期保有しておこうという気持ちがあるものの、マイナスを見るのは気持ちがいいものではないので損切りしたいとも思います。しかし、100万円となると躊躇してしまい、迷っているうちにここまで来てしまいました。アドバイスをいただけるとうれしいです。よろしくお願いいたします。〈相談者プロフィール〉・女性、39歳、既婚(夫:40歳、会社員)・子供1人:6歳(保育園)・職業:会社員・居住形態:賃貸・毎月の世帯の手取り金額:85万円・年間の手取りボーナス額:400万円・毎月の世
大統領選がリスクオン相場を誘発?「2020年のドル円相場」はどうなるのか
来年の想定シナリオは円高?円安?
残り1ヵ月半となった2019年を振り返ると、金融市場のキーワードは「不確実性」だったと言えそうです。英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる混乱もさることながら、やはり大きな関心を集めたのは米中貿易摩擦の成り行き。米中両国が対立と融和を繰り返しつつ、結局、問題の解決は先送りされてきました。両首脳が一時休戦で合意した後も、ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に対する関税引き上げを発表し、市場の失望を誘ったこともありました。それでは、このような「不確実性」の時代は2020年も続くのでしょうか。鬼が笑わない程度に、足元の政治・経済情勢からドル円相場の先行きを見通してみます。
ドル円相場の値動きは3年前の3分の1、値幅はなぜ狭くなった?
今後の為替相場はどう動くのか
金融市場の一部では「年々、ドル円相場の値幅が狭くなってきている」という嘆きの声が聞かれます。一昨年のドル円の取引レンジは11円強(118円60銭~107円32銭)で、昨年は10円弱(114円55銭~104円56銭)でした。今年は、ここまでドルの高値が112円40銭(4月24日)、安値が104円46銭(8月26日)であり、取引レンジはわずか7円94銭にとどまっています。2016年は年間のレンジが22円67銭(121円69銭~99円02銭)だったことを踏まえると、年々値幅が狭くなっているのは確かです。今年は年初に「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれる瞬間的に円が急騰する事象があり、波乱のスタートとなりました。また、前年まで利上げを続けていた米連邦準備制度理事会(FRB)が一転して利下げを行うなど、金融政策の大転換があったことに照らすと、円高リスクはここ数年に比べて高いと考えるのが普通でしょう。それにも関わらず、ここまで円の高値は昨年とほぼ同水準にとどまっており、円高期待は空振りという印象です。ここまでドル円相場のレンジが狭くなっている、ないしは円高に振れにくくなっているのは、なぜなのでしょう
ドル円相場はどう動く?9月「雇用統計」に潜む、2つの“台風の目”
ひとまず無難に通過だが…
10月4日に発表された米国の9月非農業部門就業者数(NFP)は、市場予想よりも弱い内容となりました。発表直後の為替相場の反応はドル売りでしたが、8月分の上方修正を加味すると、さして気にする内容ではないと思われます。それよりも市場を驚かせた数値が、今回の雇用統計には2つありました。この2つのサプライズは今後の金融市場にどのような影響を与える可能性があるのか、そして、ひとまずサプライズを消化した形の金融市場が今後どのようなシナリオをたどりそうなのか、考えてみます。
「円高悪玉論」は本当か
望まれざる円高とは何か
しばしば、円高は“悪い”といった声を聞きます。では、なぜ投資家はそのように思うのでしょうか。そこで今回は、生産性向上で通貨が強くなることと、物価の格差で通貨が変動することを整理したうえで、為替との付き合い方について考えてみます。
1ドル107円台にタッチ、ドル円相場は円安歩調を維持するか
カギ握る「トランプ・リスク」の行方
9月3~6日の週は、ドル円が105円台後半から107円台まで踏み上げられる相場でした。もともと「リスクオフ」というテーマに沿ってドル売り・円買いになりやすいポジションが切らされる(損切りさせられる)相場だったことで、週末に積極的にドル売り・円買いを仕掛けることもできず、最終的には106円台後半での売買交錯でニューヨーク市場は引けました。先月には一時、1ドル105円台まで突っ込んだドル円相場。今後もこのまま、切り返しが期待できるのでしょうか。カギを握るのは、やはり“あの人物”のようです。
長期・積立・分散の投資から「外貨建て保険」に心が揺らいでいます
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、最近投資を始めたという33歳の女性です。長期・積立・分散で投資方針を立てたものの、外貨建て年金保険を勧められ決心が揺らいでいるといいます。FPの坂本綾子氏がお答えします。最近、家計の見直しと投資を始めました。この春、社員に昇格したため、老後のための資産作りとしてつみたてNISAを始めたばかりです。年度途中から始めたので、限度額の月3.3万円に上乗せをし、年間40万円に到達するようにしています。また、これから確定拠出年金をマッチング拠出と合わせて月1.6万円積み立てる予定です。その他、ロボアドに15万円ほど塩漬けになっています。職場は、ほぼ昇級なし、ボーナスなし、退職金なし(各自確定拠出年金で運用)のため、65歳で最低3000万円用意するという目標を立てています。しかし、先日IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の方との個別面談で、2.75%の確定利回りの年金保険を勧められました(保険料は月3万円程度)。利回りが確定している商品は他にはない
成城石井7月にワインや生ハムなどを値引き、「日欧EPA」で安くなるモノは?
還元率のもっとも高い、目玉商品は?
欧州産のワインやスパークリングワイン、オリーブ、生ハム、チーズ……。普段使いするには少し値が張ると思っていたこれらの商品が、今までよりも手の届きやすい価格に変更になっているようです。背景にあるのは、今年2月に発効された日欧EPA。関税の撤廃または引き下げによって、安く仕入れることができた分、小売り各社では顧客に還元する試みが行われています。
1ドル108円割れから反転、“アク抜け”ドル円相場の先行き
このまま円安が進行するか
6月7日に発表された米国の5月雇用統計は、非農業部門就業者数と平均時給伸び率が市場予想の平均値よりも弱い内容となり、発表直後からドルの売り圧力が強まりました。つまり、米国の利下げ期待が強まっている環境下で、平均時給の伸び率が弱かったことによる米金利低下が、ドル円相場の頭を重くしたのです。しかし、米株式市場では、米利下げ観測が好感され、株価は寄り付きから上昇。為替市場でのドルの売り圧力は弱まりました。週末にG20財務相・中央銀行総裁会議、日米財務相会談が控えていたことに加え、週初から盛り上がっていたドナルド・トランプ大統領による対メキシコ関税問題に関するヘッドラインへの警戒もあり、投機的ポジション(株先物売り・円買い)を大きく傾けたくない心理が働いたのではないかと考えられます。もともと3~7日の週は、対メキシコ関税問題、ADP雇用統計を受けて、短期筋や投機筋、デイトレーダーのドルの売りが溜まりやすい地合いでした。ポジション調整はドルの買い戻し方向であったと想像しています。
トランプ次第のドル円相場を“あえて”先読みしてみる
再び態度を軟化させるきっかけは?
4月になって、金融市場は米中通商合意が現実味を帯びてきたと実感していました。過去の記事でも、筆者は何度か、「米中貿易戦争は最終的に回避される」との見方を書いてきました。ドナルド・トランプ大統領自身、4月に入って中国との通商合意間近をほのめかすような発言を繰り返してきていました。しかし、米国時間の5月5日に突然出てきたトランプ大統領のツイッターへの投稿で、市場の楽観的ムードは一変。殻に閉じこもっていたリスクオフ論者が、一斉に円高株安を煽り始めることとなりました。市場参加者が少なく、流動性に乏しい月曜日のオセアニア市場は有無を言わさず、前週末に比べて大幅な円高で寄り付きました。日本人はゴールデンウィークの最終日で、欧米勢・アジア勢よりも不意を突かれた形になっていたと思われます。しかし、筆者の感想は「この程度の動きか」というものでした。年初のアップル・ショック時の円高に比べると、動いていないに近い値動きだったと感じたからです。想像するに、1月3日の1ドル104円台への円高の動きで、ドル買いをできずに、上司から叱咤されたサラリーマンのドル買い注文がかなり分厚く並んでいたのでしょう。
株高でも動かない「ドル円相場」、その決定要因は何なのか
リスクオン・オフは過去の遺物?
年初にこそ一波乱があったドル円相場。しかし、このところは1ドル=110~112円のレンジで膠着状態が続いています。いったいなぜ、ここまで値動きが乏しくなっているのでしょうか。その背景と、今後の見通しについて考えてみたいと思います。