4月中旬がドル円相場の「押し目買いチャンス」である理由
市場のノイズを投資に生かす
4月5日に発表された米国の3月雇用統計は、非農業部門就業者数(NFP)が前月比+19.6万人と、市場予想の中央値である同+17.7万人に対して強めの内容となりました。しかし、平均時給が同+0.1%(予想:同+0.3%)、前年比+3.2%(予想:同+3.4%)となったことで、米金利が低下した結果、ドル円相場は小動きでした。これまでに発表されていた中国の3月製造業購買担当者指数(PMI)の改善と、米中通商交渉に対する楽観的な見通しを受けて、巷に流行していた2019年のネガティブ見通しはフェードアウトしつつあります。前回記事「弱い米2月雇用統計でも、今が押し目買いのチャンスなワケ」で筆者が触れた「ドル円は押し目買いのチャンス」というスタンスは継続すべきと判断しています。
為替リスクを抑えても高利回りって本当?円ヘッジ付き外債の仕組みとは
裁定取引を利用した円債代替商品
円ヘッジ付き外債というものをご存知でしょうか。円ヘッジをしない外債投資に比べて為替リスクが小さくなる一方で、世界中に投資先を探しにいくことで、同種の日本の債券(以下、円債)よりも相対的に高いリターンを獲得しようとする投資です。元本保証はないものの、円債の代わり(円債代替)として検討されることの多い円ヘッジ付き外債ですが、なぜ円債よりも相対的に高いリターンが期待できるのでしょうか。今回は、この円ヘッジ付き外債の仕組みについてお伝えします。
FX市場の一大関心事、「ブレグジット泥沼化」の根本事情
ポンド円相場はどっちに向かう?
欧州連合(EU)からの離脱、いわゆる「ブレグジット」をめぐる英国の迷走が続いています。英国の下院議会は現地時間の1月29日、EUとの間で政府が合意した離脱案の修正を求める議員からの提案を、賛成多数で可決しました。さかのぼること2週間前、同月15日に下院で行われた採決では、EUの合意案が大差で否決されており、テリーザ・メイ首相は今回の修正案を支持。EUとの再交渉を実現させる考えを明らかにしました。これに対して、EUのドナルド・トゥスク大統領は「離脱協定に再交渉の余地はない。英国が望んでいないことはわかったが、望んでいることはまだわからない」などとツイート。「EUの立場は明確であり、揺るがない」などとして、再交渉を拒否する姿勢を示しています。ブレグジットが3月29日に迫る中、英国がEUとの「合意なき離脱」を回避できるかどうかは極めて流動的です。今年のFX(外国為替証拠金取引)市場で一大関心事となっているブレグジットが抱える根本的な問題と、その先行きを探ってみます。
戻りが鈍い日本株と109円台の為替レートの謎を読み解く
今後は期末要因に注意
今年に入り、NYダウ平均(米国株)は5%超上昇していますが、一方で日経平均株価(日本株)の上昇は約3%に留まっています。また、為替(ドル/円)も110円台を目前にして、109円台での足踏みが続いています(執筆時点)。日本株の戻りが鈍い理由としては、円高による業績悪化懸念があると考えています。為替を決定する要因にはさまざまなものがありますが、今回は私が重視している4つの考え方をご紹介しながら、為替の現状について解説したいと思います。
米FRB利下げにも現実味?2016年に見る今年のドル円相場の行方
やはりカギは米中貿易協議
今年は2016年と状況が似ているとされます。一体どういうことでしょうか。同年と比較しながら、為替市場の今後の動向を占ってみたいと思います。
近づく「リスクオフ円高」の足音、2019年の為替見通し
“改善の極み”に差し掛かる世界経済
主要な金融商品の2019年相場について、業界を代表する専門家に聞く短期集中連載。2回目は為替、中でもドル円相場の見通しを、みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔さんに聞きました。2018年の金融市場では米中貿易戦争やブレグジット(英国のEU離脱)問題の再燃が注目されましたが、ドル円相場は値動きに乏しい展開が続きました。新しい年のドル円相場はどうなるのでしょうか。
2019年為替相場を大予想!ポイントを徹底解説
あの不況前の環境と似ている?
今年も残すところわずかとなりました。ここまでのドル円相場を振り返ってみると、3月下旬に一時104円56銭まで円高が進みましたが、その後は基本的に円高修正の動きとなっています。米連邦準備制度理事会(FRB)の段階的な利上げがドル高を牽引したと言え、円下落ではなくドル上昇だったという表現が当てはまるかもしれません。結局、10月上旬には一時114円55銭まで円安に振れ、ここまで年間のレンジは概ね10円となっています。ひるがえって2019年はどのような動きになるでしょうか。基本シナリオは「米国の利上げ停止」になります。では、詳しく解説したいと思います。
貯金は日本円だけって危険なの?資産分散の仕方が知りたい
外貨投資の基本は「為替」と「金利」 正しく理解ができている?
不安定な為替市場が続いています。もともと長期での運用がメインの、筆者の顧客からは特段、心配する声はありませんでしたが、これからはじめたいと相談に訪れる人の中には不安視し、躊躇(ちゅうちょ)する場面もありました。投資初心者の方でも「知っている」と、共通して口にするワードがあります。それは、「資産分散」です。今回は、資産を分散する必要は本当にあるのか、またその意味について考えてみたいと思います。
ドル円相場を見通すために押さえたい“2つのポイント”
頼りになるのは実需の資金フロー?
未来を予想することはそもそも難しいのですが、為替市場を見通すことは一筋縄ではいきません。また、通貨は2国間の相対的な力関係でレートが決定されるため、絶対的な価値基準がありません。つまり、割高、割安の判断を主観的なものに頼らざるを得ないことも為替の予想を難しくしています。今回は、この難しい為替相場を見通すには何を見ればよいのか、現状の市場動向を踏まえながらご説明します。
将来息子が留学するのに備えて、外貨資産を蓄えたい
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。我が家は、共働き夫婦に長男ひとりの3人家族です。現在小学校5年生の息子についてですが、大学在学中に1年の留学、もしくは大学院は海外で、と考えています。そのため、外貨建ての資産を持とうと思っています(当たり前ですが、留学先は未定です)。できるだけ汎用性のある外貨ということでドルを考えています。なかなか始めるきっかけを掴めないでいますが、どういった資産をどのように形成するのがよいでしょうか。また、預貯金以外持っておらず、どの証券会社がよいのかわかりません。コストが安く安全な証券会社の選び方を教えてください。よろしくお願いいたします。〈相談者プロフィール〉女性、40代後半、既婚、子供1人(小5)
円高リスクは限定的と考えられる3つの理由
足元の為替市場はリスクオフ?
10月10日、米国株式市場は再び急落に見舞われましたが、その引き金を引いたのは今年2月同様、長期金利の上昇だと言われています。本来、米国長期金利の上昇は円安ドル高を支援することが多いのですが、リスクオフ環境の中ではそうした関係は成立しにくいと言えます。10月4日に一時1ドル=114円55銭を示現したドル円相場は一転して、円高ドル安に振れる展開となりました。反面、為替市場を見渡すとこれまでのセオリーでは説明がつかないことが起きています。ドル円相場もさほど円高が進んでいない印象の中足元の為替市場についてどのように見たらよいのか、考察してみたいと思います。
1ドル=111円台に、「ドル円相場」はこの先どうなる?
調整相場はどこまで続くか
10月5日に発表された米9月雇用統計は、失業率が事前予想(中心値は3.8%)より強い3.7%となった一方、非農業部門就業者数は事前予想(中心値は前月比+18.5万人)よりも弱い、同+13.4万人という内容でした。また、注目の平均時給は前年比+2.8%と、予想通りでした。米新規失業保険継続受給者数が1973年以来の低水準まで低下していることから、筆者は非農業部門就業者数が前月比+25万人以上になると予想していました。そのため、為替相場の見通しも、米9月雇用統計を材料に1ドル=115円台まで上昇し、その後11月6日の米中間選挙に向けて調整色が強まるとみていました。しかし実際には1ドル=115円台をつけることなく、足元は111円台と調整相場に入っています。今後のドル円相場はどのように動きそうなのか、見通してみたいと思います。
ドル円相場に緊張感、日本にも「トランプ恫喝」の理由とは?
引き続き極めて強い米8月雇用統計
米8月雇用統計は極めて強い内容9月7日(金)に発表された米8月雇用統計は、平均時給伸び率が予想中心値前年比+2.7%に対して同+2.9%と速報値ベースでは1月分以来の上昇率となりました(但し、後に+2.8%に下方修正されています)(下図)。
お金と社会はつながっている!小学生のためのお金の教室
ゲームで学べば株の仕組みもグッと身近に
超低金利の時代である今、お金を単に銀行に預けているだけでは資産が増えづらい時代です。将来の年金受給や老後の生活資金などへの不安から、老若男女を問わず資産形成の重要性がいっそう高まっています。その流れはどんどん低年齢化し、今や小学生にも。単なる知識としての勉強ではなく、ゲーム感覚でお金の動きを学ぶ講座が各地で人気を集めています。今回は、東京ミッドタウンで開催された日興アセットマネジメントによる「夏休み親子お金研究室」の様子をのぞいてみました。
好調な米経済はこのまま続く?今後のドル円ゾーンを予想
極めて強い米7月雇用統計
米6月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、年内4回の利上げ見通し(従来は年内3回)が示されて以降、ドル円は堅調に推移し、一時1ドル113円台まで上昇しました。しかし、7月19~20日にトランプ米大統領が米FRB(連邦準備理事会)の金融政策に口先介入し、米国の利上げ軌道を牽制したことや、日本国内では日銀がイールド・カーブ・コントロールを微調整との観測報道が飛び交ったことで、一時1ドル110円台半ばまで下落しています。様々な投機要因に振り回された7月のドル円相場ですが、8月3日(金)に発表された米7月雇用統計は極めて強い結果となりました。今後のドル円ゾーンは?雇用統計の内容から確認していきましょう。
ドル円相場「年末にかけて円安進行」と見る3つの根拠
2018年後半の為替相場を展望
2018年もまもなく折り返し地点を迎えます。足元では1ドル=110円近辺でモミ合う動きとなっているドル円相場ですが、年明け間もない1月8日に今年前半の高値1ドル=113円40銭をつけた後、3月にかけて一方的なドル安と円高が進む場面がみられました。9円近い振れ幅があった今年前半のドル円相場の背景を振り返る中から、年後半の相場を読み解くヒントを展望してみたいと思います。
気迷いムードのドル円相場、今後のメインシナリオは?
軽視できない日米欧金融政策の差異
今年のドル円相場を振り返ると、年初から円高に振れましたが、3月下旬以降は円安基調に戻っています。もっとも、ドルの上値も限定的で明確な方向感が定まっていません。市場の見通しも円高派、円安派に分かれ、コンセンサスがない印象です。こうした気迷いムードは投機筋のポジションにも表れています。今後、レンジ相場は円高、円安どちらに抜けるのでしょうか。
FX規制会議、「レバレッジ10倍見送り」の舞台裏
観測報道と違う結論に至ったワケ
「まずは厳格化・適正化された新たなストレステストの確実な実施を通じた自己資本の充実等により、高度なリスク管理体制の構築を確実かつ迅速に進める」(報告書案 p.11)6月12日、店頭FX(外国為替証拠金取引)業者の決済リスクへの対応に関する有識者会議第6回会合が開催され、本検討会の報告書案がまとまりました。昨年秋に「レバレッジ上限を現在の25倍から10倍へと引き下げる」とする観測報道がされてから注目を集めてきた本検討会ですが、報道とは異なる決着をみせたようです。議論のターニングポイントはどこだったのでしょうか。まとめられた報告書案、そして公表された議事録から、経緯をひも解きます。